2026年2月総選挙で大勝した高市自民党の一方で、中道改革連合の壊滅的な大敗が世間を驚かせた。その敗因はどこにあったのか、先は見えるのか。自民党事務局長として長らく政界を見て来た選挙・政治アドバイザーの久米晃氏に聞いた。(聞き手 ジャーナリスト菅沼栄一郎)

野党は盟主が居なくなって完全にばらけちゃった
―― 「多弱」となった野党はこの先、どうなるでしょう。
「『中道』はたぶん、実質的に分裂状態になるのではないでしょうか。『一強多弱』になって、野党は盟主がいなくなっちゃって、完全にばらけちゃいます。
野党の中でも、世代交代が起きてくる。新しいリーダーを求める。旧立憲民主党の執行部は総退陣になるでしょうが、塊(かたまり)は絶対必要なわけだから、岡田克也さんや枝野幸男さんとか過去の人でなく新たなリーダーが出てくる。
参政党も思ったより伸びなかった。国民も、維新も頭打ち、それぞれの中で世代交代が起きてくるのではないか。参政は事実上、神谷さん(宗幣代表)1人でやってる。もともと5人のチームだけど、4人が離れて行った。神谷代表のどこかに、人が集まらない弱点があるんじゃないでしょうか。190人も候補者出して、落選した人はどうなるんでしょう?
公明党は一番厳しい立場になってしまったのではないか。2027年の統一地方選挙や2028年の参議院選挙で、自民党との選挙協力を見据えて、「公明党」を残したのでしょうが、公明党の実力を知られてしまい、今は組む相手もいなくなって、裸で選挙をやらざるをえなくなった。300万か400万しか、比例票も出てこないんじゃないでしょうか」
自民党は圧勝で、公明党の票なんかいらねえ、ってことになる
―― 創価学会は世界宗教を目指して、もはや政党などに、無駄なエネルギーを費やさなくていい、との話が内部から聞こえます。
「今回の選挙を主導した人やこれを容認した現執行部は、組織の中で信用がガタ落ちになるのではないですか。だってこれで国政選挙3連敗です。自民党と選挙協力する多少の余地は残ってたはずなのに、統一地方選挙と参議院選挙が残っていたのに、ルビコン川を渡ってしまった。自民党も公明党の票がなくてもこれだけ圧勝したのだから『公明党の票なんかいらねえ』ってことになる。もちろん、高市内閣の支持率が高ければ、ですが。公明党への不信感は拭い切れないのではないか。
一方、旧立憲側からは、比例上位を独占され、期待していた比例票がサッパリ見えなかった、来なかったと思われて、厳しい立場になっちゃいます。
もともと、以前一部幹部から宗教団体に特化した方がいい、という声もあったようですが、別の幹部から排除されてしまった。そのあたりから力を持った人が、どんどん突き進んだ。やっぱり、自分のところの組織が見えていないと言われても仕方がない。今度のように大惨敗した責任をどうとるのだろうか。自民党だったら、執行部総退陣ですが」
―― 大きな流れは、「政界再編」に向かいますかね。
「自民党の比例議席は176分の67。選挙区は289分の249。小選挙区制度のなせる技です。安倍さんの後の、3人の首相時代に、自民党の支持率がガタ減りになった。なぜかっていうと、安倍さん的なものがなにもなかった。安倍さん的なものとは、支える人がいたってことと、前向きな物事をはっきり言う強気な政治です。高市さんはそれを見習って、ものをはっきり言う、強気な政治をやって来た。安倍さん的なものに対する、二重写し的な政治が、今は見られています。しかし、安倍さんはコロナ対策に失敗して退陣、その後の菅義偉首相もコロナの対策が期限に間に合わず、総裁選不出馬に追い込まれた」