
真冬の寒さと春本番の暖かさを、行ったり来たりする季節となりました。
この激しい寒暖差が原因となる「寒暖差疲労」、実は更年期に現れやすい不調のひとつなのですが、意外にもその予防に目のケアと睡眠ケアが有効なのです。その理由と養生法を、東洋医学の視点からご紹介しましょう。
「寒暖差疲労」とは?なぜ更年期に多くなるの?

2月も中旬になると「三寒四温(さんかんしおん)」の季節となります。この時期は日本列島に低気圧と高気圧が交互にやってきて、寒くなったり暖かくなったりを周期的に繰り返すことから「3日寒い日が続いた後に4日暖かい日が続き、再び3日寒い日が続く」という意味でこう呼ばれるのですが、今年はその寒暖差が大きくなる見通し。真冬の寒さから一気に春本番のような暖かさへと気温が急上昇する予測もあり、1週間の中で10〜15°C前後も変動する可能性がありそうです。
寒暖差が激しくなると、体内の血管の伸縮も激しくなるもの。私たちの体は暖かくなると血管を拡張させ、寒くなると血管を収縮させて体温調節をしていますが、これは自律神経によってコントロールされています。そのため寒暖差が激しくなればなるほど自律神経が働きっぱなしになり、やがて自律神経が疲弊。これを「寒暖差疲労」と言い、主に次のような不調が多く見られます。
◉めまい・耳鳴り
血管の伸縮がうまく行かないために、脳や耳周辺の血流が一時的に不安定になってめまいが起こる場合が。また、内耳周辺の血流が悪化して聴力が低下し、脳がこれを補おうと耳の感度を上げるために雑音が増えて耳鳴りが起こりやすくなることも。
◉頭痛・肩こり
首筋から後頭部にかけての血管がガチガチに収縮すると、締めつけられるような頭痛の原因に。また、血管の収縮によって筋肉の血行が悪くなると、肩こりを招くことも。
◉突然の動悸・息切れ
自律神経がうまくコントロールできず、過剰に緊張状態になって急に心臓がバクバクしたり、息を深く吸い込めなくなったりすることが。
◉冷えのぼせ
血管のコントロールが乱れることで、急激な発汗の後で急激に血管が収縮して体が冷える「冷えのぼせ」が多くなりやすい。
◉メンタルのアップダウン
自律神経が不安定になるためにイライラしやすくなったり、不安感や無気力感などが現れやすくなったりと、メンタル面のアップダウンが強くなる。
更年期世代は血管の弾力性を保つ女性ホルモン(エストロゲン)が減少しているため、血管が硬くなりやすい傾向があります。ここに激しい寒暖差が加わると、血管が収縮したままなかなか戻らなくなったり、過敏に反応してガチガチに硬化してしまったりする場合も。こうなると血液が末梢まで届きにくくなるので、脳は血流を促進しようと血圧を高めてしまい、血圧の乱高下やさらなる寒暖差疲労の悪化を招くこともあるのです。
東洋医学で見ると、寒暖差疲労は「肝(かん)の高ぶり」が関係

寒暖差疲労を防ぐために実践したいのは、衣服管理をして寒暖差を抑えること。自律神経の要所である首、手首、足首まわりを冷やさないように防寒し、細かく温度調節ができるように重ね着をして寒暖差を極力少なくする工夫が大切です。また、ぬるめのお風呂に浸かる、深呼吸をするなどの自律神経をリラックスさせるケアもいいでしょう。まずはこうした基本的なセルフケアを押さえた上で、さらに東洋医学によるアプローチも寒暖差疲労対策にプラスしてみませんか?
寒暖差疲労を東洋医学の視点で見ると、「肝(かん)の高ぶり」ととらえることができます。
「肝」とは東洋医学の基本理論である五臓のひとつで、その主な働きは気(き=エネルギー)のめぐりをよくする「疏泄(そせつ)」と、血(けつ≒血液)を蓄える「蔵血(ぞうけつ)」。なじみが薄い言葉であまりピンとこないかもしれませんが、このふたつの働きは体にとってエンジンとガソリンのような重要な役割をになっています。
肝の疏泄は、気を全身にめぐらせて自律神経をコントロールし、体内の各機能をスムーズに動かすエンジンの役割。そして肝の蔵血は、このエンジンを動かすための燃料となるガソリンの役割があり、同時に摩擦や蓄熱を防ぐ潤滑油や冷却水の役割も兼ねています。
三寒四温の季節になると、激しい寒暖差に対応しようと肝は疏泄の働きを高めようとします。エンジンの回転数を上げようとしている状態ですね。このとき肝の蔵血が十分であれば、ガソリンは満タンでエンジンの回転も安定し、肝の疏泄が滞りなく行われるはず。しかし肝の蔵血が不足していると、ガス欠なのに無理矢理エンジンを吹かせる状態となってしまいます。
肝の高ぶりとは、いわばこのようなエンジンの空焚き、オーバーヒートの状態。
そして更年期になると、体内で血を生成する量が減少して肝の蔵血が不足しがちになるため、この肝の高ぶりが起こりやすくなるのです。

