金は有形通貨であり、デジタルではない
金は有形通貨であり、デジタル通貨ではない。金は、デジタル通貨がさらされるリスクに対する保険の役割を果たす。
たいていは、ドルはデジタル通貨として扱われる。ポケットに数枚のドル紙幣が入っているかもしれないが、実際のニーズに見合う金額ではない。スーパーで買い物をしたら、20ドル札を取り出すこともあるかもしれないが、多くの場合はデビットカードやクレジットカードを使うだろう。
給与を受け取るときは、おそらく雇用主から口座に直接振り込まれる。請求書を支払うときは、オンラインバンキングを利用するだろう。
買い物をするときは、デビットカードかクレジットカードを利用するだろう。実際に使用する現金の額は、すべての取引量のうちのごくわずかでしかない。
世界最大の証券市場であるアメリカ国債市場は、1980年代初頭以降、紙の証券を発行していない。誰かの家の屋根裏に古い紙の証券が数枚あるかもしれないが、現在の国債市場は、決済システムと同じように完全にデジタル化されている。すでにキャッシュレスのデジタル社会になっているのだ。
「現金との戦い」と呼ばれるものを心配する人もいるが、心配するまでもない。現金との戦いはもう終わっており、政府が勝利したからだ。
現実問題として、誠実な市民が銀行から多額の現金を引き出そうとしたら、麻薬取引やテロ行為、あるいは脱税の疑いをかけられ、政府の監視下に置かれるのは避けられない。
金現物を持たない市民は、資産のデジタル化に従うしかない。デジタル資産は、停電、インフラの崩壊や取引停止、ハッカー、オンライン盗難のリスクにさらされる。10億ドルの資産があっても、一晩で消滅してしまっては何の意味もない。
政府が銀行を閉鎖し、ガソリン代や食費として1日300ドルまでしか引き出せないようにATMを設定し直したら、どうなるだろうか。
銀行に10万ドルの預金があっても何の役にも立たない。政府の規制当局は、追って通知があるまで1日300ドルで十分にやっていけるはずだ、と告げるだろう。
実際に、2013年にキプロスで、さらに2015年にギリシャで、そのとおりのことが起こった。預金者は、銀行の資産凍結に対する保険として、金現物を持っておくべきだ。
ジム・リカーズ
APJ Media 合同会社
編集長/地政学者/経済学者/弁護士
