◆井上尚弥と中谷潤人に対して思うこと
ーーボクシングを始めた原点を伺いましたが、競技を続ける中で「同世代の存在」を強く意識する場面もあったと思います。高校時代には、井上尚弥選手とも対戦されていますよね。寺地拳四朗:インターハイの決勝ですね。僕は当時3年生で、尚弥は1年生。結果は負けです。当時からめちゃくちゃ強かったですよ。 今はもう、見てるこっちが「負ける想像がつかない」レベルですよね。同じボクサーとして見ても、彼は頭一つ抜けています。
ーー井上選手のように早い段階から評価を確立した選手がいる一方で、試合を通して、着実に評価を積み上げてきたのが中谷潤人選手だと思います。同世代の目から見て、彼の成長をどう感じていますか。
寺地拳四朗:昔、スパーリングをしたことがあります。当時はフライ級で、そこまで差があるとは感じませんでした。そう思いきや、トントン拍子で階級を上げていくにつれて、体もしっかり大きくなっている。 単に「うまい」というレベルじゃなくて、階級を上げながらちゃんと「進化」しているのを感じます。今後さらに体が大きくなれば、またスタイルも変わっていくんでしょうけど、今の彼を見ると「上の階級の選手だな」という迫力を感じますね。
◆揺るぎない「3階級制覇」への執念
ーー最後に、IBFとの一連のやり取りもあり、競技外での動きも続いていますが、今後の目標を教えてください。三迫貴志:チームとしてIBFには強く抗議を入れています。こちらの要望は「王座剥奪」云々よりも、とにかく「試合をさせてほしい」ということ。彼が王者であることを認めるなら、正々堂々とリングで決着をつけさせてほしい。それがファンも一番望む形でしょうし、我々もそこで白黒つけたい。
寺地拳四朗:目標は変わらず、3階級制覇です。そして、現在のフライ級統一王者であるジェシー・ロドリゲスとの対戦。今回のことがあって流れが一度止まりましたけど、このモヤモヤを晴らすには、もっと強い相手とやって勝つしかない。
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取材の数日後、IBFはスーパーフライ級王者ウィリバルド・ガルシアに対し、指名挑戦者アンドルー・モロニーとの防衛戦を指令。寺地との再戦の可能性は事実上消滅した。寺地陣営からすると、まったくもって納得がいかない結果のはずだ。今回の悔しさを闘志に変え、再びリングで輝く瞬間を心待ちにしたい。
<取材・文/菅原春二 写真提供/福田直樹>
【菅原春二】
東京都出身。フリーライター。6歳の頃から名刺交換をする環境に育ち、人と対話を通して世界を知る喜びを学んだ。人の歩んできた人生を通して、その人を形づくる背景や思想を探ることをライフワークとしている。

