◆ろうそくが床いっぱいに広がった部屋
スタッフ全員で最も力を入れる1つが、清掃だ。お客さんが帰った後、1部屋につき、4人のスタッフがトイレ、お風呂、ベッドなどと担当場所を決めて、各場所につき15分前後で終える。最も困るのは、ろうそくが床いっぱいに広がっている時。隅々まではがすのはその日だけでは無理で、翌日になるという。
「2日間、部屋が使用できないので、少なくとも数万円の損害になります」
工藤さんが「意味がわからない」と語るのは部屋の壁に傷やひびが入っていたり、壁掛けのエアコンにぶらさがったために落ちかけている時。
「お酒を飲んで酔っ払い、暴れたのかもしれませんね。私たちは警察に被害届を出したり、損害保険会社に連絡を入れ、申請したりと何かと時間がかかります。
不思議と、こういうお客さんはタクシーで来るケースが多い。自分の車だと、車番がわかり、警察が来たり、保険会社から請求されることを避けるためにタクシーにしているのかもしれません」
◆ラブホテルの利用客にも変化が

「女性の2人組での利用が増えてきました。車のナンバーは他県が多く、キャリーバックを引っ張り、部屋に入っていきます。おそらく、旅行で函館を訪れた方でしょうね。
市内のホテルと比べて値段は安いし、大きな駐車場があり、室内は広く、きれい。65インチテレビがあり、VODは観放題。ビデオも観られるし、カラオケも歌い放題。大きなお風呂やトイレは最新式で、きれい。露天風呂もある。
食べもの、飲みもののメニューは100種類を超えている。新鮮な海鮮料理や活料理も自前で作れます。こんなところを気に入り、泊まってくださるのかな、と思っています。
女性同士でいらっしゃる方々はたくさん食べて飲んで、歌ってくださる傾向があり、清掃は通常の男女カップルの3倍くらいの時間がかかるのは大変ですが…楽しんでくれたのなら、それで私たちは十分ありがたいです」
飲食の充実や室内設備の強化に取り組んだ結果、リピーター率は7割まで増加した。困ったトラブルを持ち込む客の数も減り始めている。
「ここ数年はYouTubeチャンネル『ホテル水色の詩』をご覧になって、函館の旅行で来たり、ビジネスで出張してきた方が泊まるケースも増えています。ご来店をお待ちしています」
※ラブホテルは、風営法で18歳未満の入室は禁止されている。
<取材・文/吉田典史>
【吉田典史】
ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年より、フリー。主に企業などの人事や労務、労働問題を中心に取材、執筆。著書に『悶える職場』(光文社)、『封印された震災死』(世界文化社)、『震災死』『あの日、負け組社員になった…』(ダイヤモンド社)など多数

