◆過剰な干渉はいつしか一線を越えていた
ある日の夜、いつものようにカウンターに座り、スープを一口啜るなり店主を呼びつけて、「今日のスープ、少し濃度がブレてないか?」と声をかけると、思わぬ言葉が返ってきた。「店長がいきなり、『もう、来ないでください。今日で出禁です』と言うんです。『えっ? 良かれと思って言ってるんだよ。酷いじゃないか』と返したのですが……」
店長は鬱憤を晴らすように、まくし立てたという。
「はっきりとは覚えていないけれど、『ここは私の店だ。確かにアドバイスを求めたことはあって、それは感謝しているけど、最近のあなたは高慢すぎる。迷惑だ』というようなことを言われました。もうラーメンも食べずに、涙をこらえて退店しました。自分が迷惑だと思われていたなんて、ショックでしたよ」
冷静になった濱井さんは、現在の心境をこう語る。
「最初は『店主からアドバイスを求めてきたから言っただけじゃないか』と憤りがありましたが、次第になにも言われていないのにプロデューサー気取りでアドバイスをするようになって、鬱陶しかったと思います。反省して、今はラーメン店の店主や店員とは一切話さず、食べるだけにしています」
どれだけ店を思っているつもりでも、頼まれてもいないアドバイスを連発するのは、相手からすればただの「お節介」でしかない。「限度」をわきまえたうえで接するべきだっただろう。
<TEXT/佐藤俊治>
【佐藤俊治】
複数媒体で執筆中のサラリーマンライター。ファミレスでも美味しい鰻を出すライターを目指している。得意分野は社会、スポーツ、将棋など

