50代・60代から「老後に向けた資産形成」を始めるのは手遅れ?むしろ「投資しない」がリスクになり得る理由【FPが解説】

50代・60代から「老後に向けた資産形成」を始めるのは手遅れ?むしろ「投資しない」がリスクになり得る理由【FPが解説】

「投資をはじめるには遅すぎる」と感じる50・60代は少なくないでしょう。しかし、インフレリスクから資産を守るためには、むしろ50・60代こそ正しい投資の知識を身につける必要があります。本記事では、『増やしながらしっかり使う 60歳からの賢い「お金の回し方」』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集して、著者でFPの横田健一氏が、インフレ時代における老後に向けた資産形成の重要性について詳しく解説します。

50・60代こそ投資を始めるべき

50代、60代で投資を始めるのは遅すぎると思われる方もいます。しかし、人生100年時代、80代、90代まで生きる可能性が高いことを考えると、十分な時間があります。

手元のお金を全額投資に回すようなことは避けるべきですし、数年以内に使う可能性があるお金は投資すべきではありませんが、10年後、20年後といった先々に使う予定のお金を投資商品で運用していくことは、重要な選択肢になります。

むしろ、50代、60代こそ、投資が必要です。 

投資が必要な理由の一つは、インフレリスクからお金を守るためです。

インフレには、大きく分けて 「短期的なインフレ」 と 「長期的なインフレ」 があります。短期的なインフレは、為替が円安に進み、食品や原油などの輸入価格の上昇が契機となって起こるものです。たとえば原油価格が上がればガソリン価格が上がりますし、ガソリン価格が上がれば物流コストや光熱費が上昇し、モノの値段が上がる=お金の価値が下がるインフレになります。

一方、経済が成長し、賃金が上がっていく過程で起きるのが、長期的なインフレです。日本銀行は持続的な経済成長の中で2%のインフレになることを金融政策の目標としています。日本の過去20年は異常であり、通常の経済下において2~3%程度のインフレになることは決して特別なことではありません。

 投資しないとインフレで購買力が下がる

[図表1]は、横軸に経過年数、縦軸に購買力をとり、インフレによって購買力がどの程度下がっていくかを表したものです。

[図表1]インフレ率と購買力の低下

たとえば100万円持っていたら1個1万円のものを100個買うことができ、インフレ率が0%なら100個買える状況が続きます。日本では長期にわたってデフレが続きましたから、預貯金で限りなく0%に近い金利でお金を寝かせていても大きな問題は起きませんでした。

しかしインフレ率2%が20年間継続すると、購買力は67%まで低下し、当初100個買えたものが67個しか買えなくなります。40年間では購買力は半減し、45個分しか買えなくなってしまいます。

新社会人が老後へ向けて2,000万円貯めても、40年間、2%のインフレが継続すると実質的な購買力は半分以下になってしまうので、2,000万円分の購買力を保有するためには、40年後には4,000万円持っていなければならない、ということです。長期的なインフレにはそのような影響があるのです。

預貯金では2%、3%など、インフレ率を上回る金利が付くのは難しいといえます。つまり、購買力を維持、向上させるには、投資によって、インフレ率を上回る運用が必要になるのです。

50代、60代で投資するのはリスクが高いと考えられていますが、人生100年時代では70歳、80歳、さらに90歳以降までなど、長い間、お金の価値を守る必要があり、その意味では投資しないことこそがリスクともいえるのです。

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