移民を受け入れられる人が増えれば日本の衰退は止まる?働き手が“6割”を切った国、「1996年以降生まれの日本人」は知らない光景

移民を受け入れられる人が増えれば日本の衰退は止まる?働き手が“6割”を切った国、「1996年以降生まれの日本人」は知らない光景

日本の生産年齢人口は、1995年をピークに減少の一途をたどっています。2024年には約7300万人となり、ついに総人口の60%を割り込みました。1996年以降生まれの日本人にとって、日本とは「人が減り、老いていく国」でしかありません。労働力を補うために移民政策の議論も進みますが、日本には根強い「他国を排他的に見る傾向」があります。本記事では、永田智睦氏の著書『人生の選択肢を増やす資産スイッチ』(アスコム)より、「日本だけで生きることはリスク」と提言する同士が、人口データと国民性の観点から、日本の危うい未来を読み解きます。

他国を排他的に見る日本人の“危うさ”

私は「生涯、日本だけで生きる」ことは大きなリスクだと捉えています。それはなぜなのか、私が懸念する5つのリスクをご紹介したいと思います。

1.成長性が鈍いというリスク

日本は世界でも非常に速いスピードで少子高齢化が進行しています。特に深刻なのは高齢化です。

15歳以上65歳未満の人口である「生産年齢人口」という数字は、経済活動や社会保障を支える重要な年齢層を示すものですが、日本は1995年をピークに縮小傾向にあります。2024年は約7300万人で、総人口の60%を下回り、2070年には約4500万人まで減少するという推測もされています。

私は政治家ではないので、今後日本がどうなっていくのかを明確に指し示すことはできませんが、人口減少の観点から、これからの日本の成長は厳しいものになっていくのではないかと感じています。

生産年齢人口が少なければ、「子どもが増えない=働き手が減る」一方です。労働力を増やすために「シニアを社会へ」と言っても限界があります。かといって若い人たちがシニアの生活を支えるために働いていたら、国力はどんどん下がっていくでしょう。一方、アメリカを含めた先進国には、古くから移民を受け入れる文化があり、それにより生産年齢人口を確保できるという面もあります。

しかし日本は、どちらかと言えば他国の人々を排他的に見る傾向があります。ニュースでクルド人問題がネガティブな話題として取り上げられるたびに、日本の画一的な一面を感じます。

たしかに、事実として一部ではあるでしょう。しかし、こうした情報の積み重ねで、移民へ負のイメージが植え付けられていけば、おそらく将来にわたって生産年齢人口を確保することは難しいでしょう。

一方で、「国債を発行し続ければ国は存続できる」という経済学者もいますが、国債はあくまでも借り入れであり、将来への負債の先送りです。国が成長し続けているから成り立つモデルなのです。だからこそ、「成長性が鈍い」のは大問題だと私は考えています。

2.為替リスク

将来的に円の価値が落ちていく可能性も、大きなリスクと考えられます。円安になると輸入企業の利益が圧迫されます。それに伴い、多くの食料や資源を輸入に頼っている日本では、物価も上昇していくのです。

もちろん、円安が一概に悪いわけではなく、一方で輸出企業の利益が潤うという側面もあります。しかし、だからといって円の価値が落ちるのは決して良いことではありません。円の価値の低下は、「日本が他国よりも価値の低い国」であることと同義なのです。

それを強く感じたのが、先日、久々にハワイへ旅行をした時です。ご存じのように物価の上昇、そして円安の影響を非常に感じました。

実はこれは、フィリピンペソに関しても同様の状況が続いています。以前は「1フィリピンペソ=2.1円前後」の換金率だったのですが、最近はずっと「1フィリピンペソ=2.6~2.7円前後」です。為替はさまざまな要素から影響を受けるため、動向の予測が非常に難しく一概には言えませんが、基本的にフィリピンという国の価値が上がれば、将来性などに期待してフィリピンペソを買う人たちが増えます。そうなれば、通貨の価値も上がるのです。

現在の日本では、単純に「為替はリスク」としか考えていない人も、まだまだ多いのではないでしょうか。

3.情報の視野狭窄リスク

日本は、「世界の視点から客観的に見た、自国の情報が得にくい国」だと思います。例えば、日本の学校では第二次世界大戦を学ぶ際、日本の行いが世界でどう見られたかといった習い方はしません。

しかし、フィリピンやアメリカで第二次世界大戦を学ぶ際、「日本は海外でどのようなことをしてきたか」というように、1つの物事に対して多角的な視点で考える機会が与えられます。もちろん、さまざまな意見や考え方があるので、どちらが正しいかを論じるのは不毛ですが、海外の人々が、物事を柔軟かつ客観的に見ることができることは間違いありません。

今は戦時中のように情報が遮断されているわけではないので、他国の視点による情報はいくらでも得られます。しかし、日本にいる限り「自国に不利益な情報」は、意識的に得ようとしないと知るのは難しいでしょう。

こうした状況は経済面でも同じことが言えます。日本で海外の情報に触れたとしても、それは、「リアルな情報」とかけ離れている場合があります。

そういう意味で、日本に滞在し続けていると、「日本で得られる情報が全て」だと視野狭窄してしまうこともあるでしょう。そうした偏った考えは、資産運用でもビジネスでも大きなリスクとなるのです。

4.国に逆らえないリスク

昨今の選挙や政治状況、またニュースやSNSなどの書き込みを見るにつけ、日本には、「日本人として日本で生活するには、国に逆らうことはできない」と考えている人が多いと感じています。

「そんなの当たり前じゃないか」と言う人もいらっしゃいますが、果たしてそれで本当によいのでしょうか。例えば、現在の日本人は「税率を上げる」と発表されると、文句は言っても、最終的には「仕方ない」とその制度に従うことしかできません。

しかし、どんな日本人にも「日本以外の国で生活する」選択肢はあります。国の政策等に納得できなければ、極端な話、移住すればよいわけです。そもそも、そうした選択肢があること自体に気づいていないというほうが正しいのかもしれません。

実際に今、富裕層や有名人が日本から世界へ移住しているニュースを頻繁に見るようになりました。ニュースで見るということは、それ以上に多くの人が海外移住を行っていると考えてよいでしょう。

私自身、フィリピンやハワイだけでなく、香港やシンガポールも含め多くの国を訪れた経験があります。もちろん、それぞれの国で一長一短はありますが、日本とは全く異なる考え方に触れて驚いたり、「なるほど」と感心したりすることが多々あるとともに、「自分がいかに狭い場所で生きてきたか」を思い知らされることばかりでした。

それらを経験した上で、現在は「日本に住む」選択をし、フィリピンをサブの居住地として確保しているのです。

「海外を見ることで、日本という国の良さをあらためて知る」のも、1つの視野の広がりだと思いますが、何よりここで伝えたいのは、「政府の政策に従っていれば幸せに暮らせていた時代は終わりを告げている」ということ。また、「今後、日本がこれまでと同様に発展するとは考えにくい」ことを理解しておいていただきたいのです。

5.海外との乖離リスク(「日本が全て」と思い込むリスク)

海外の文化や生活に触れていると、特に日本人は「物事をはっきり言う」ことが苦手だと感じます。政治にしかり、仕事や人間関係の不満にしかり、思っていることをグッとのみ込んで内に秘める人が多いのも、1つの国民性なのでしょう。

ちなみに、SNSの「X」のアクティブユーザーのうち、日本人の割合はなんとアメリカに次いで世界で2番目に多いと聞きます。ネット上のいじめも絶えません。そんなことにも、日本人の面と向かってはっきり言えない気質が映し出されているような気がします。

さらに、「1社に働き続ける」「マイホームは一生の買い物」といった価値観もいまだに強く根付いています。これもまた日本特有の文化であり、日本人の大きなストレスにつながっていると私は考えています。

こうした考えを持っていると、「会社がどうしても肌に合わない」「子どもが学校でいじめられた」といったことがあっても、「我慢」という選択肢が浮かんでしまうのではないでしょうか。

もしそこで、「引っ越し」という選択肢を選べたら、ご自身やお子さんの未来への道が開けてくるのではないかと私は思います。

これまで述べてきたように、世界にはたくさんの国々があり、日本とは全く異なる考え方や価値観があります。変化の速い現代においては、「日本の常識が全て」と思い込まず、むしろ日本は海外諸国から遅れていると考え、積極的に海外の状況を見に行くくらいの意識を持ったほうが視野は広がっていくでしょう。

日本だけで生きる5つのリスク

私が感じる「日本だけで生きることによる5つのリスク」を挙げましたが、これら5つに共通するのは、「選択肢が限られてしまう」ことです。

もちろん、人によってさまざまな考え方があるので、「世界を見ることが正解だ」とは言えません。ですが、海外へ頻繁に出向いて日本を外側から見てきた人間として、このような考え方もあると知っていただければ嬉しいです。

1.成長性が鈍いというリスク

世界でも非常に速いスピードで少子高齢化が進行。特に深刻なのは高齢化。15歳以上65歳未満の「生産年齢人口」は1995年をピークに縮小傾向に。2070年には約4500万人まで減少するという推測もされている。

2.為替リスク

将来的に円の価値が落ちていく可能性も大きなリスクに。円安では輸入企業の利益が圧迫され、多くの食料や資源を輸入に頼っている日本では物価も上昇していく。結果、苦しい生活を余儀なくされる状況が続く可能性も高い。

3.情報の視野狭窄リスク

日本で得られる海外の情報は「リアルな情報」とはかけ離れている場合も多い。そういう意味で、日本に滞在し続けていると、「日本で得られる情報が全て」だと視野狭窄してしまう可能性も否定できない。偏った考えは、資産運用でもビジネスでも大きなリスクとなる。

4.国に逆らえないリスク

「税率を上げる」と発表されると、文句は言っても、最終的には「仕方ない」とその制度に従うことしかできない状況の中、「政府の政策に従っていれば幸せに暮らせていた時代は終わりを告げている」という事実を認識し「今後、日本がこれまでと同様に発展するとは考えにくい」ということを理解しておくことが肝要。

5.海外との乖離リスク

言い換えると「日本が全て」と思い込むリスク。「1社に働き続ける」「マイホームは一生の買い物」といった日本特有の価値観は、日本に住む上での大きなストレス源に。さらに、こうした日本特有の価値観を「全て」と捉えがちで、その結果「会社がどうしても肌に合わない」「子どもが学校でいじめられた」といったことがあっても「我慢」という選択肢が出てきてしまう。

永田 智睦

API Gateway株式会社 代表取締役

宅建士/FP1級技能士/日本FP協会CFP認定者

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