「忙しさの正体」をデータで解明。80年続く下町の病院を変えた、事務部長とデータサイエンティストの組織改革

「忙しさの正体」をデータで解明。80年続く下町の病院を変えた、事務部長とデータサイエンティストの組織改革

データ改革と並行した地域との関係構築

塚越人事総務部長が院内の仕組みづくりを担う一方で、小嶋事務部長は「病院を外から支える役割」を担ってきました。行政、地域団体、他院との関係づくりは、経営の土台を整えるうえで欠かせない仕事だといいます。

現在は事務部長として、東京商工会議所や墨田向島法人会、向島交通安全協会、消防懇話会など、地域に根ざした団体に所属し、病院の外での活動も続けています。こうした活動について、小嶋事務部長は次のように語ります。

「僕は医師ではない立場でこの法人を動かしているので、地域とのつながりは本当に大事だと思っています。外に出て話をすると、『病院がどう見られているか』『何を期待されているか』がわかることも多いんです」(小嶋事務部長)

インタビューにこたえる墨田中央病院 理事・事務部長の小嶋さん、人事総務部長の塚越さん

同業者とのネットワークづくりもその一環です。施設基準や監査対応など、経営に直結する情報を得るため、医療業界の勉強会にも積極的に参加してきました。

「ほかの病院の方とお話し、お互いの病院で取り組んでいること、課題や問題を共有したり、情報交換の場として活用しています。電話やメールも便利ですが、お互いに顔を合わせて話すことも大切だと思っています」(小嶋事務部長)

病院を「地域の共有財産」として残すために

墨田中央病院 理事・事務部長の小嶋さん、人事総務部長の塚越さん

電子カルテの導入、業務の可視化、職員との対話、そしてネットワークづくり。いずれも地味で、時間のかかる取り組みです。しかし、その一つひとつの積み重ねが病院の在り方そのものを少しずつ変えています。

ただ、改革を進めれば進めるほど、新しい課題が見えてきます。塚越人事総務部長は、病院経営の難しさについてこう語ります。

「高収益だけを目指すなら、採算の取れない部門を切り離す判断も出てきます。でも医療はそれをやってはいけない部分がある。患者さんが行く場所を失ってしまうからです。赤字覚悟で守る部分と、収益で支える部分。そのバランスをどう取るかが、今も一番の悩みです」

最後に、小嶋事務部長に、これからの病院の在り方について聞きました。

「5年後も10年後も、ここに病院があることですね。職員が誇りを持って働けて、地域の人に『ここがあってよかった』と思ってもらえる場所であり続けたい。それが、僕の一番の目標です」

取材協力:医療法人社団 隆靖会 墨田中央病院

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