
◆大学教授の父に、ズボンを脱がされて…
――やまゆうさんは、社会的に立派な肩書をもつご両親に育てられたと伺っています。やまゆう:そうですね。私は香川県丸亀市に生まれました。父は大学教授、母は薬剤師です。見合い結婚だった両親は、どこか他人感のある夫婦でした。子どもに対する愛情は豊かとは程遠く、無関心がもっとも適切な表現かもしれません。
――お父さんからの虐待を受けたのはいつ頃からでしょうか。
やまゆう:古い記憶だと3歳くらいのときです。2人でテレビを見ていたら、突然ズボンを脱がされて、お尻の穴にティッシュを詰められました。父がいかにも愉快そうに、面白がってやってきたのを覚えています。
◆リストカットを見た警察官が驚きの一言
――とてつもない虐待経験に感じますが。やまゆう:ただ、父は非常に巧妙で、すべて私の妄想であるかのように仕立てるんです。のちに勉強して、こうした「相手がおかしいのではないかと錯覚させる」心理的虐待をガスライティングということを学ぶのですが。また、父の肩書も手伝って、私の被害を訴える声に耳を傾ける大人は皆無でした。
――たとえば、どんな訴えをして、どう無視されたのでしょうか。
やまゆう:小学生時代からリストカットなどの自傷行為に走り、中学・高校時代にはピークに達しました。ときには自傷によって病院に運ばれたり、家出をして警察に保護されることもありました。心にずしんときたのは、家出をしたときにある警察官から「親から殴られて育った子もいるんだぞ!」と怒鳴られたことです。また別の警察官は私のリストカットを見て、「もっと傷が深い子もいる」という趣旨の発言をしました。つらくてSOSを出しても、頭ごなしに否定されてしまって、身の置き場がありませんでした。

