一部報道によれば、年齢制限の理由について、客層が若いなかで、その嗜好と店の雰囲気を一致させるためなのだとか。だが、その結果として、いわゆる“おじさん世代”は、酒場から締め出される形となっている。今回は「若者が増えた酒場で、居場所を失う中年たち」の実態に迫った。
◆平成レトロブームの裏側で戸惑うおじさんたち

そう語るのは、都内在住の40代会社員・大橋さん(仮名・48歳)。令和に入った頃から、Z世代を中心に広がってきた平成レトロブーム。80年代後半〜2000年代初頭のファッションや音楽、カルチャーが再評価されるなか、その波はかつて中年男性の“居場所”だった酒場にも押し寄せている。
「この前、行きつけの赤提灯に行ったら、20代くらいの若い女性が2人で入ってきたんです。店に入るなり『エモい!』って言いながら、店内の写真を撮り始めて……。普段は若い子なんてほとんど来ない店なので、常連たちもなんとなく気を遣って、撮影の邪魔にならないように端に寄る感じになりました」
さらに、思わぬ形で“場違い感”を突きつけられたという。
「たまたま僕が写真に入っちゃったみたいで、『すみませ~ん』って言われて。写り込まないように隣のお客さんにさらに身体を寄せましたよ。悪気はないのはわかるんですが……」
似たような経験は、一度や二度ではない。
「別の日には、横丁の立ち飲みで、若いグループが『昭和感ヤバい』『TikTokでバズりそう』なんて話しながら動画を撮っていて。店そのものが“観光地”みたいな扱いになってる感じで、常連としては複雑でした。さらに『おじさんたちも味あるよね』なんて会話が聞こえてきて。今度は勝手に被写体にされているみたいで、正直、いい気はしなかったですね」
大橋さんは、若者が来ること自体を否定したいわけではない。ただ、かつてはゆっくり過ごせた場所が、いつの間にか“気を遣う場所”に変わってしまったことに戸惑いを感じているという。
◆スナックでママを独占する若者たち
「若い子たちが来ることは別に悪くはない。でも、もう少しマナーの意識は持ってほしいな……と思うときがあります」そう苦笑するのは、都内在住の会社員・佐藤さん(仮名・52歳)。数年前から若者にスナックブームがきている影響で、馴染みの店でも居心地の悪さを感じるようになったという。
「この前、仕事帰りに寄ったら、店の半分くらいが20代の男女グループで埋まっていました。ママには『少し前からスナックブームがあって、若い子が来てくれるようになったのよ』と言われました。普段は常連客とママがワイワイ話すような店なんですが、その日はそのグループの子たちが、ママにずっと人生相談のような話をしていました。他の男女はカラオケに夢中でマイクを離さないから、あぶれた常連さん同士の会話も聞こえない。
後日、ママには『この前はごめんね~』と謝られました。スナックは昔から“おやじたちの憩いの場”だったはずなのに、いまはそうではなくなってきているのかと思うと、ちょっと寂しいような複雑な気持ちになります」

