◆「陛下の野党」を要求すべきではないか
憲法政治の本場のイギリスでは、伝統的に第二党を「陛下の野党」と呼ぶ。イギリスで「王室を廃止せよ」などと共和主義を叫んでも相手にされないし、「政争は水際まで」で安全保障を政治的争点にすることは戒められている。これは長い憲法政治の運用の中で、慣例が蓄積されて今に至る。保守・労働の両党の政争は激しいが、このような国家の根本の問題に関しては一致している。だからこそ、経済問題やイデオロギーの問題でどんなに対立しても、国が壊れる心配はない。
翻って我が国では。平気で「アンケート調査で次の天皇を決めよ」などと軽佻浮薄なマスコミが支配的で、影響を受けている政治家もいる。政権交代したら日米安保条約が破棄されるのではないかとの恐怖感が「悪夢の民主党政権」で現実化した。そして日本国憲法は制定以来、誤植も含めて一文字も変えられていない。
これすべて「陛下の野党」が不在だからだ。
と言って、今すぐ中道改革連合を解体し、野党第一党の地位から引きずり下ろせとは言わない。選挙の直後に政界再編は、有権者への裏切りだ。むしろ、数合わせではない、真剣な議論の期間とすべきだろう。
自民党は衆議院を解散したいはずが無いが、必ず2年半後に参議院選挙がある。その時に、自民党と「陛下の野党」を選べる未来を、日本国民は要求すべきではないか。
―[言論ストロングスタイル]―
【倉山 満】
憲政史研究家 1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『噓だらけの日本近世史』が2月28日に発売

