今週のテーマは「半年間交際したものの、バツイチ38歳の男が36歳の独身女から身を引いた理由は?」という質問。さて、その答えとは?
▶【Q】はこちら:36歳女と結婚するには、覚悟が必要?38歳男が、交際半年で別れを決断したワケ
交際半年になる佳苗との関係を、僕は今一度よくよく考えてみる。
2月は、バレンタインと佳苗の誕生日がやってくる。
― どうしようかな…。
こう思っている時点で、僕の中で答えは出ていたのだろう。だから、僕は佳苗の誕生日が来る前に、ちゃんと「別れよう」と伝えることにした。
「佳苗には、もっといい人がいると思うよ」
「え?どういうこと…?」
「佳苗は素敵な女性だと思うけど、僕よりもっといい人がいるよ」
もちろん佳苗は納得がいかない様子で食らいついてきた。
「なんで?私、何かした?」
「いや、何も。でも佳苗は年齢的にこの先、『結婚したい』とかもあるだろうし…別れるなら早いほうがいいかなと思って…」
正直、佳苗の年齢は関係ない。そもそも僕は一度結婚していることもあり、若くても僕より年上でも別にいい。その人自体が素敵だったら、気にしない。
でも、佳苗に諦めてもらうには、こんな残酷な言葉をかけるしかなかった。
最初は、すごく美人だし独立しているし、素敵な女性だなと思っていた。しかし交際半年で、僕はもう「お腹いっぱい」になってしまった。
佳苗と出会ったのは、クライアントが主催していたパーティーだった。結構な人数が集まっていたそのパーティーの中で、たまたま知り合いがおり、話していると、その人が佳苗を紹介してくれた。
すらっとしていて、綺麗な佳苗。華やかな美人で、思わず目を奪われた。
だから僕は連絡先を交換しようと試みたのだが、そもそも食事へ行きたい。ここで、僕はふと思い出した。
前に訪れた際に予約した名店の席が、たまたま空いている。これはいいチャンスだ。
「佳苗さんは、何系のお食事が好きですか?」
「私は…お鮨が好きです」
「え!来週の金曜の夜とかお忙しいですよね?前回予約していた『鮨 影山』の席があるのですが、同席予定の人が急遽出張になってしまい…。誰かいないかなと思っていたんです」
「そうなんですか?ぜひ!行きたいです」
こうしてあっという間に次のデートの日程が決まった。
そして当日、『鮨 影山』のカウンター席で、改めて二人で乾杯をする。
「幸太郎さんすごいですね♡ここのお店が取れるなんて」
「食べることが好きなんです。ここは前回連れてきてもらった際に、幸運にも次回の予約が取れて」
佳苗がキラキラとした眼差しで僕を見つめてくる。「席があって良かった」と、心底思った。
そして今日は二人きりの初デート。お互いの仕事のことなどを深掘りしていくうちに、佳苗はちゃんと自立している女性だということもわかった。
「じゃあ佳苗さんは、外資系の化粧品でマーケティングをされているんですね。すごいじゃないですか」
「いえいえ、そんなことないですよ。仕事内容は結構地味だったりしますし…。でも、仕事は楽しいですね」
「接待とかも多いんですか?」
「いえ、そんなに」
「そうなんですね。お店とかワインとかにお詳しいから、てっきり会食も多いのかと」
話しているうちに感じたのだが、佳苗は、良い店やお酒に詳しい。仕事柄かと思ったけれど、プライベートでもよく行っているらしい。
「お店やワインを勉強しておくことって…ある意味大人のマナーだと思うんです。どこに連れていってもらっても、恥ずかしくない女性になりたいなと思っていて」
「素晴らしいですね。佳苗さんって、いいですね。大人の女性の余裕があって」
「そうですか?付き合うとワガママになるかもですよ」
「えー!想像できない」
36歳という年齢以上に、落ち着いて見える。しっかりしているし、上品な人だな、という印象が強く残る。
鮨を食べながら、豊かな時間が流れていく。
そしてお会計になった時。僕がもちろん支払うつもりだったれど、佳苗は大袈裟なくらいに喜んでくれた。
「ここは僕が」
「え?でも…」
「今日は僕がお誘いしたので」
「ありがとうございます!」
この初デートで、僕は佳苗を「自立した、食とかワインに詳しい大人の女性」だと認識した。
しかしこの認識が、後々崩れていくことになる。いや、間違ってはいないのだけれど、色々と違う方向へ転がっていく。
そして二度目のデートで佳苗の方から「付き合ってほしい」と言われ、断る理由もなかったので、僕たちは交際することになった。
仕事が忙しくてなかなか会えなくても、佳苗は何も言ってこない。それは本当に助かったし、適度な距離感が心地良かった。
しかし会うたびに、僕の中で「ん?」と思うことが増えていった…。
忙しくて会える機会が少ないからこそ、会えた時には彼女を喜ばせてあげたいと最初は思っていた。
あれは、クリスマス前後のことだっただろうか。仕事が上手くいったので、僕は久しぶりに奮発して、とても良いヴィンテージのワインを開けた。
すると佳苗はとても喜んでくれ、最初は充足感の中で乾杯をした。
「このワイン、うまいなぁ…。やっぱり美味しいワインは違うね」
しかし、こんな単純な喜び方をしている僕の横で、佳苗はソムリエばりにワイングラスを傾け、香りを嗅ぎ、グルングルンと回している。
「綺麗なエッジ…。こんないいワインを開けてくれて、嬉しいな♡あとワインってさ…やっぱり値段に比例するよね。高価なワインだとトップに来る香りと、口に入れた瞬間の華やかさ、そして広がりが全然違うというか。こんな高いワイン開けてくれるなんて、幸太郎は本当にいい彼氏だね」
― いや、怖いよ…。グラス、回しすぎじゃね?
ワインが好きなのは結構だし、ちゃんと見て、しっかりと味わうことはいいと思う。美味しいものや店に対するリスペクトがあるのは素晴らしいことだ。
ただ佳苗は、たぶんこのワインが好きなのではない。
“高い”ワインが好きなのだ。
店選びだってそう。美味しいとかが基準ではなく、とにかく“高い”店へ行きたがる佳苗。
そしてそれは交際してから酷くなっていった。
「幸太郎、最近仕事忙しそうだね」
久しぶりに会えた時も、佳苗の頭の中は自分の誕生日のことでいっぱいだ。
「そうだね、お陰様で。出張も多いし」
「そうだよね…。でも2月は私の誕生日があるからよろしくね」
「月末だよね、覚えてるよ」
「お店の予約、ちゃんとしてる?あと、その前に一緒に銀座あたりで買い物しない?」
「いいけど。何か見たいの?」
「せっかくだからジュエリーとかがいいなと思って」
― それって…。俺に何か買えってこと?
「そっか。じゃあ銀座の方でお店探しとくね」
そう言ったものの、佳苗と一緒に銀座のジュエリーなんて見に行ったら、いくらの物を買わせられるのかわからない。
とんでもない値段の物をせがまれそうだ。
「幸太郎、バレンタインの日は忙しい?せっかくだから会いたいなと思って」
「空いているとは思うけど…何曜日だっけ?」
「今年は土曜だよ」
「あーごめん。土曜日はゴルフだ」
「え〜!バレンタインは、カップルで愛を伝え合う日なのに。海外だと男性が女性に対して食事をご馳走したり、プレゼントを贈る日なんだよ」
「出た!帰国子女!」
バレンタインだって、そう言いながらプレゼントを遠回しにねだっているだけだ。
― これって、僕が目的ではなくて、僕の先にある金が目的だよな…。
高級店も連れて行きたい時に連れて行くし、プレゼントだって、こちらがしたければする。
ただここまで露骨にねだられ、そして“お金がかかる女”だと一度悟ると、一気に冷めてしまった。
もし何か欲しい物があるなら、もう少し計算高く、可愛げを持ってねだった方がいい。露骨すぎると、プレゼントをする気も、奢る気も失せてしまうから。
― 自立した女性だと思っていたけれど…。とんでもない依存体質だな。
そう思い、僕は別れを決めた。
▶【Q】はこちら:36歳女と結婚するには、覚悟が必要?38歳男が、交際半年で別れを決断したワケ
▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟
▶NEXT:2月21日 土曜更新予定
男が結婚を決める瞬間とは

