昨今、入試の常識は大きく変わりつつあります。
かつては「裏口」と揶揄された推薦・総合型選抜が、今となっては過半数を占める。従来の学力一元評価ではなく、様々な要素を総合的に見る多元評価の時代になったのです。
学力テストが一般的な時代からすれば常識外れもいいところですが、受験が就活に置き換わったと考えれば、ある程度は納得いくのではないでしょうか。
もちろん、どちらも一長一短ですから、一般・推薦の両方を併用すべきように感じます。
「東大生は勉強だけで使えない」と言っている方にとっては、「勉強だけ」の東大生が振り落とされる推薦入試こそ、歓迎できるかもしれません。
ただ、それでも「推薦が許せない!」とする声は多そうです。この拒否感を醸成したのは、おそらく「指定校推薦」の存在があるように見えます。
今回は「推薦アレルギー」を誘発させる指定校推薦の概要と問題点をお伝えします。

◆指定校推薦に感じる“不公平感”の正体
指定校推薦とは、大学が各高校に配った指定推薦枠を利用した入試形態のこと。「推薦」の形態を取りつつ、ほかの推薦入試と一線を画するのは、「指定校は出したらほぼ勝ち」だから。
出願すれば、よほどの問題がない限りほぼ合格が確約されるのです。
その分、指定校推薦の枠は狭く、特定の大学・学部学科に絞れば、1人しか申し込めないなどザラ。
これをゲットするために、多くの学生は「評定平均(通知表の数字)」を高く保ったり、内申点をあげたりするための様々な努力を行います。
ただ、授業をしっかり聞いて定期テスト対策をしたり、部活や課外活動などを積極的に行ったりと、いわゆる「受験勉強」とは遠く、しかも勉強の強度に限って言えば、受験するより楽な場合がほとんど。
それに、推薦入試は、「年内入試」とも呼ばれるほど結果が早く出るのも特徴であり、そのせいで、一般受験生からは「俺たちよりも頑張らないくせに、俺たちよりも早く結果を握っている」と悪く言われてしまうのです。
ですが、本当に成績が優秀な生徒にのみ指定校推薦が配られるのならば、「受験勉強をしている優秀な生徒」へ優先的に配られるはず。
どうして、受験程ハードな勉強をしていない人たちが指定校推薦で入学できるのでしょうか。
◆指定校推薦を渋る学校
それは、学生側ではなく、学校側に原因があります。学校が、指定校推薦の枠を意図してコントロールしているのです。例えば、S県内屈指の県立進学校に通っていたAさんは、母校で行われていた驚きの進学指導について話してくれました。
ある日Aさんが登校すると、朝のホームルームにて「今日、指定校推薦の一覧表を教室内に掲示します」と連絡されたのだそうです。
ただし、その時間は「16時から15分間のみ」であり、1分でも過ぎたら即掲示を取り下げ、表は撤去。申し込み条件も「事前に進路希望で提出している希望大学・学部・学科・コースまで全てが一致した場合に限り、指定校推薦の出願を認める」というのです。
もちろん、二度目の掲示は実施されず、その日に学校を休んだ生徒は、指定校推薦枠の内容すら確認できません。
これは、実は珍しい話ではありません。特に地方の公立進学校を中心にありふれた話であり、程度の大小はあれ、「指定校推薦の出願を先生に妨害された」「指定校というと、露骨に嫌な顔をされた」など聞くことができます。
なぜ、学校側は指定校推薦を渋るのでしょうか?

