40歳息子のありえない提案
「実はさぁ、娘が『私立中学を受験したい』って言い出してさぁ」
久しぶりに顔をみせたかと思えば、息子はいきなり切り出しました。
「『友達が受験するから自分も受けたい』っていうんだよ。嫁も『大学受験に有利になるから』ってノリノリなんだ。だけどさ、塾代だけでもけっこうな金額になるし、住宅ローンも金利が上がってるでしょ。俺も40過ぎちゃったし、給料ももうあんまり上がらないと思うんだよね。娘が中学に入るころにはどうなってるかわかんないし、困ってるんだよ」
困っているのは、息子のいっていることがさっぱりわからないAさんのほうです。地方から出たことのない高齢のAさんは、なぜ女の子に中学校から私立に行かせないといけないのかがわかりません。聞けば、中学受験はかなり合格するのが難しく、いまのうちから塾に通って猛勉強しないと駄目だからお金がかかるそうです。たしかに「孫娘は勉強ができる」と聞いてはいましたが、Aさんからみると、「この息子の子どもがそんな難しい試験に受かるのか?」と疑問しかありません。
「落ちちゃったらその塾代は無駄になるんだよね」「あんたの収入に見合った学校に行かせればいいじゃないか」といってはみましたが、嫁になにかいわれてやってきたのか、引く様子はありません。
親子でも、さすがに許せなかったひと言
「そんな大きなお金はすぐには用意できないよ」と冷たくあしらうと、息子はあっけらかんと言い放ちました。
「母さんの持っている土地とか現金とか、生前贈与してもらえないかなぁ。どうせいずれかは僕のものになるし、いまもらっておいたほうがお金が活かせると思うんだよね」
Aさんは腸が煮えくり返りました。
「私も孫娘はかわいいよ。だからピアニストになるわけでもないのにピアノも買ってあげたし、小学校に上がるときはランドセルだって買ってあげたじゃないか。なのにあんたはお父さんが入院してもほとんど見舞いにも来なかったし、これまで1円だって家にお金を入れたこともないじゃないか!」
母親のみたことのない剣幕に、息子は這う這うの体で逃げ出しましたが、息子が帰ったあともAさんの怒りは収まりません。追い打ちのLINEを送りました。
「私はあなたたちの世話にはならないし、なったこともない。私の目の黒いうちは大事な土地は手を付けさせないからね! もう40なんだから自分の家庭は自分で守りなさい。おねだり息子はもういらないよ」
それ以降、Aさんは息子からのメッセージをみることはありません。
