◆銀行員が何度も見た「女と欲で崩れていく」資産家の末路

彼らに共通しているのは、最初から遊び目的だったわけではないという点です。
会食の席で知り合った女性。仕事を尊敬してくれる若い相手。最初はただ食事するだけのつもりだったものが、次第に頻度が増え、店もグレードアップしていく。
1回数万円の食事、ホテルのバー、気づけば定期的な小遣いのような支出が生まれていました。
お金がある男は、求められます。必要とされ、褒められ、頼られる。その感覚が、仕事とは別の快感として染みついていくのです。
家では得られない刺激、年齢を忘れさせてくれる時間。それを手放す勇気は、想像以上に難しい。
やがて支出は膨らみ、嘘が増え、資産管理は雑になっていきます。それでも本人はやめられない。欲の対象は女ではなく、承認と高揚感そのものだからです。
最後に残ったのは、お金でも女でもありませんでした。誰にも本音を話せず、誰にも信用されない孤独だけが、静かにそこに残っていたのです。
◆お金よりも大きい「失ったもの」
多くの人は、いくら失ったのかという数字に目を向けます。ですが、私が現場で見てきたのは、それ以上に大きなものを失っていく姿でした。
家族からの信頼、安心して眠れる夜、自分を律する感覚。お金はまた稼げても、これらは簡単には戻りません。
お金があること自体が問題なのではありません。お金があるから大丈夫だと思い込み、自分の欲や不安に無自覚になることが、最大の落とし穴です。
本当に守るべきものは、通帳の残高ではなく、崩れたあとに気づく“日常”そのものなのだと思います。
<文/渡辺智>
【渡辺智】
某メガバンクに11年勤務。リテール営業やプライベートバンカー業務を経験。その後、外資系保険会社で営業。現在は金融ライターとして独立。FP1級保有。難しい「お金の話」をわかりやすく説明することをモットーにしています。公式SNS(X)は、@watanabesatosi7

