【福島・企業紹介】おいしいご飯で、地域の農業を支えたい。相馬屋パックご飯工場がつなぐ福島の食

【福島・企業紹介】おいしいご飯で、地域の農業を支えたい。相馬屋パックご飯工場がつなぐ福島の食

1923年。老舗米店「相馬屋」は、現在の福島県いわき市で創業しました。以来、厳選したお米を地域の食卓へ届け続けています。創業から100年の節目となる2023年には、楢葉町にパックご飯工場を新設しました。その背景にあるのが、福島第一原子力発電所の事故以来続く農業の課題です。

事故から15年が経とうとする今も、福島12市町村では営農再開率が4割弱にとどまっています。地域農業の基盤である稲作を、もう一度この地で循環させたい。米の消費拡大や将来的な輸出も視野に入れながら、相馬屋は、加工という新たな形で地域農業を支えています。

今回は、パックご飯事業部部長・都築絢子(つづき あやこ)さん、品質管理室・河野舞(こうの まい)さんに、工場新設の背景や日々の仕事、そして地域への想いについて話を伺いました。

地域農業を盛り上げるための新たな挑戦

原発事故により楢葉町に出された避難指示が解除されたのは、2015年9月。しかし、稲作をはじめとする農業は、長期間田んぼを使えなかった影響や農家の高齢化により、以前のような姿には戻っていません。令和7年度に楢葉町が発表した「地域農業再生協議会水田収益力強化ビジョン」によれば、町内の水稲作付面積は令和3年時点で震災前の約7割まで回復していますが、ここからさらに地域の農業を盛り上げていく取り組みが必要です。

100年以上の歴史をもち、米の流通で地域の食卓を支えてきた相馬屋は、浜通り地域の農業にどのような形で貢献できるかを模索してきたといいます。その想いを形にするために始めたのが、パックご飯の製造です。米の卸や販売をするだけでなく、生活スタイルの変化に合わせた商品の開発までを自社で担うことで、安定した需要を生み出すことができると考えたのです。 「単身やご高齢の世帯では、ご飯を炊くこと自体が負担になることもあります。パックご飯なら、電子レンジで温めるだけで手軽に炊きたての味が食べられます。生活のなかで役立ててもらえている実感があるのがうれしいですね」

そう話すのは、相馬屋に勤めて20年になる都築さん。 いわき市の本社勤務から工場へ移った都築さんは、稼働から2年を迎えた新しい工場について、「清潔な環境が保たれており、食品工場としての衛生管理も徹底されています」と話します。

「きれいな空間で働けることはもちろん、社員同士の風通しがいい点も、この職場の魅力のひとつですね」

清潔で、安心・安全なご飯を

工場の中は、想像していた食品工場のイメージとは異なり、すっきりとした空間が広がっています。

相馬屋パックご飯工場では、無菌化包装米飯方式を採用しています。蒸気による短時間の殺菌処理のあとに炊飯し、無菌化状態のクリーンルームで密封包装する製法です。炊飯後に加熱殺菌を行うレトルト米飯方式と異なり、炊きたてに近い風味や食感、自然なおいしさを保てるのが特徴です。

生産能力は1時間あたり約8,000パック。フルオートメーション化されており、人の手が必要なのは、機械の操作やフィルムの交換、製品チェックなど、工程の一部のみです。効率的なライン構成により、少人数でも安定した生産が可能となっています。

現在、工場は朝8時から夕方5時まで稼働しています。そのなかで、都築さんが「いちばん大事」と話すのが、清掃の時間です。

「食品を扱う工場なので、菌の繁殖は一番気をつけなければいけません。そのため、1日の稼働時間のうち3時間ほどを清掃に充てています」

効率を追い求めれば、生産量をさらに増やすことも可能です。しかし相馬屋では、無理に稼働時間を延ばすことはしていません。安心して食べてもらうために欠かせない工程として、これからも清掃の時間を削ることはないと言います。

配信元: Nativ.media

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