「全ての所得」が税務調査の対象になる
「実質所得者課税」の原則とは
ある所得が帰属すると思われる者が外見上の単なる名義人にすぎず、その経済的利益を実質的、終局的に取得していない場合は、外形上の取引名義ではなく、その経済的利益の実質的に享受している者を所得の帰属者として課税するという税法上の原則を、実質所得者課税の原則といいます。もうお気づきになった方もいらっしゃると思いますが、所得税の税務調査は、調査対象となる方の調査対象年分について、その方の主業の所得(例えば事業所得)だけでなく、すべての所得が調査の対象となるのです。
そのため、所得税の調査の場合は、
・その方のすべての所得について調査があるのだ!
・取引名義のいかんにかかわらずその方の所得と認定され得るすべての所得について検討しておかなければならない!
と考え、対応策を検討し、実行することが必須なのです。
所得税の調査では、各種所得金額の計算に必要な収入金額と必要経費のことだけを調べるのではなく、所得により生じた財産や消費支出の状況についても調べられます。
調査担当者は、調査で把握した収入金額と必要経費から算出した所得金額を上回る財産の増加、債務の減少や消費支出額があった場合、まだ把握していない所得があるのではないかと考えます。
法人税の調査であれば、法人名義の取引だけでなく、調査担当者が法人の事業と関連性があるのではないかと考えた場合、役員や従業員などの名義の取引(金融機関取引なども含みます)も調査することとなります。
さらに、調査担当者が必要と判断すれば消費税、源泉所得税、印紙税、贈与税の調査も行います。
こういったことを想定して対応策を検討・実施することが必要ですし、そのことが調査対応の成否につながるのです。
もし、納税者・代表者と顧問税理士が、先ほど書いたように「事業の調査ではないのか。それは事業とは関係ないのだろう」とか「事業に関係する通帳は提出している。事業に関係のないプライベートな通帳は見せられない」と主張するだけで、事業以外のことや役員・従業員などの名義による取引について、調査対応を検討していなかった場合、どうなるでしょうか?
事前に検討して防御策を講じることなく、申告漏れ・申告誤りを指摘される(ノーガードでめった打ちされる)のは明らかですよね。
廣田 隆幸
廣田隆幸税理士事務所/ほわいと税理士グループ
所長/代表
