中小企業M&Aトラブル、専門家を揃えても回避困難!?…買主の「過信リスク」と、デューデリジェンスの「実務的限界」【M&A弁護士が解説】

中小企業M&Aトラブル、専門家を揃えても回避困難!?…買主の「過信リスク」と、デューデリジェンスの「実務的限界」【M&A弁護士が解説】

法律や税務の専門家を立て、デューデリジェンスを尽くしたうえでM&A取引に臨んだのに、想定外の問題が発覚――。M&Aの現場では、そのようなケースが少なくありません。なぜそのような事態に陥ってしまうのか、M&Aを専門に扱う弁護士が解説します。※本記事は弁護士法人M&A総合法律事務所の代表弁護士、土屋勝裕氏の書き下ろしです。

デューデリジェンスを尽くしたはずなのに…M&A後に問題発覚

中小企業のM&Aでは、買主が弁護士、公認会計士、税理士等の専門家を起用し、デューデリジェンスを実施した上でM&A取引に臨むことが一般的です。そのため、買主としては「必要な調査は行った」「専門家のチェックも受けた」という安心感を持ってM&Aを実行することになります。

しかし、M&A後に想定していなかった問題が発覚し、「調査には限界があった」と感じる場面は少なくありません。実務では、デューデリジェンスを実施していたからといって、すべてのリスクが洗い出されるわけではなく、調査の性質上、どうしても把握しきれない問題が残る構造があります。

また、中小企業のM&Aにおけるデューデリジェンスは、資料の準備やスケジュールの制約が強く、限られた期間内に複数領域を並行して確認することになります。また、確認できない分野も発生します。そのため、重要論点に優先順位を付けた検討にならざるを得ず、全件精査ではなくサンプル調査を中心とした確認にとどまるのが実情です。結果として、調査結果は一定の不確実性を内包したベストエフォートベースの判断材料となります。

デューデリジェンスで発見されなかった問題が後から発覚する場面

デューデリジェンスは、あらかじめ定められた調査範囲と資料に基づいて行われます。そのため、調査対象外とされた領域や、売主から提供されなかった資料に関わる問題については、M&A後に初めて明らかになることがあります。

例えば、過去の労務管理の実態、非公式な合意に基づく取引関係、帳簿に現れない慣行的な支出、内部的な法令違反の認識などは、形式的な資料確認だけでは把握が困難です。これらの問題は、M&A後に顕在化し、買主にとって想定外の負担として現れます。

提供元

あなたにおすすめ