すでに短期滞在外国人による“ヒットアンドアウェー型”犯罪は増加傾向にあり、元当事者や現地事情に詳しい関係者は「受け子だけでなく強盗への転用もあり得る」と警鐘を鳴らす。国境を越えて進化する犯罪ネットワークの実態と、日本の治安が直面するリアルなリスクを追った。
◆日本人にとって新たな脅威が浮上
![日本人に忍び寄る[5つの危機]](https://assets.mama.aacdn.jp/contents/210/2026/2/1771287490808_18nntcv2fuqj.jpg?maxwidth=800)
今年1月、カンボジアから発信されたニュースは一筋の光明に見えた。日本はもとより、欧州、アメリカ、中国本土にまで特殊詐欺をグローバルに展開していたプリンスグループのトップ、陳チェンジー志が身柄を拘束され、中国へ移送されたのだ。
「福建省出身で中国からカンボジアに渡った陳は30代という若さながら、カンボジア国内に『園区』と呼ばれる複数の大規模詐欺拠点を持ち、カンボジアの政権にも食い込んでいた特殊詐欺界の超大物です。彼が逮捕されたことにより、カンボジアでは特殊詐欺拠点の摘発が相次ぎ、大慌てで引っ越しをする映像が連日報道されています」
そう語るのは、アジアの犯罪事情に詳しいジャーナリストの泰梨沙子氏だ。だが、朗報の裏で我々日本人にとって新たな脅威が浮上している。
「関係者の一部はタイやミャンマー、ラオスといった近隣国に国外脱出していますが、日本も選択肢として挙がっています。中国人コミュニティが既に存在する日本は、彼らにとって魅力的な逃亡先のひとつのようです」
◆国籍を洗浄して来日する詐欺集団の構成員たち
陳をはじめとするカンボジアで活動していた特殊詐欺グループの元締たちは、中国出身者が大半を占める。カンボジア在住で現地事情に詳しい小市琢磨氏が解説する。「いわゆる二重国籍状態で、彼らが中国本土に送還されれば重刑は免れない。だから彼らはバヌアツやキプロスといった第三国のパスポートを取得し、国籍を洗浄。そのうえで日本へ入国するという段取りを踏む。
日本では経営・管理ビザ制度などを悪用し、ペーパーカンパニーをつくって長期滞在資格を得るという流れが出来上がっています。日本法人に犯罪収益金を移し、タワマンを買い、家族を呼び寄せて優雅に暮らす。こんな事例が多数あると聞いていますよ」

