鳥居みゆき「生きづらいのがデフォルトなんです」作家・こだまと語る“普通”という世間の物差しに対する違和感

鳥居みゆき「生きづらいのがデフォルトなんです」作家・こだまと語る“普通”という世間の物差しに対する違和感

―[インタビュー連載『エッジな人々』]―

発達障害に関する資格を持っているお笑い芸人の鳥居みゆき氏と、特別支援学校の寄宿舎で働いた経験がある作家のこだま氏が初対面。「生きづらいのがデフォルトです」──障害=できないことが多い2人が、“普通”という世間の物差しに対する違和感を語り合った。

エッジな人々 鳥居みゆき×こだま
お笑い芸人・鳥居みゆき×作家・こだま(右)

◆世界はちょっと変な人たちがつくっている

 白のパジャマ姿で目を見開き、「ヒットエンドラーン!」と叫び踊るネタでブレイクしたお笑い芸人の鳥居みゆき氏と、私小説『夫のちんぽが入らない』で読者から多くの共感を得た作家のこだま氏。共に鮮烈なデビューを飾った2人の共通点は、「障害」を身近に感じてきた経験だ。こだま氏の新作(※1)『けんちゃん』を通じ、障害を取り巻く環境や“普通”の基準などを語り合ってもらった。

――鳥居さんは、数年前に(※2)「児童発達支援士」と(※3)「発達障害コミュニケーションサポーター」の資格を取得されたそうですね。きっかけは何でしょうか?

鳥居:NHK Eテレの(※4)『でこぼこポン!』への出演です。発達障害のある子供向けの番組ですが、出演以降、街で「ウチの子、3歳なのにまだしゃべらなくて。大丈夫ですか?」とか声をかけられることが増えたんです。番組に出る以上、「わかんなーい!」とは言えないな、と。

こだま:そこから「勉強しよう」と思えることが素晴らしいです。

鳥居:私、「できない」は許せるけど「やらない」は許せないです。勉強してわからないならいいけど、行動しないまま何も知らないのは無責任だと思って。

◆ダウン症の高校生、けんちゃんとの日々

エッジな人々 鳥居みゆき×こだま
鳥居氏とこだま氏は今回が初対面にもかかわらず、“できないこと”をテーマに話が弾んだ
――一方のこだまさんは、(※5)特別支援学校の寄宿舎で指導員として働いていたそうですね。今年1月には当時の経験を生かし、(※6)ダウン症の高校生けんちゃんと周囲の人々を描いた小説『けんちゃん』を出版されました。

こだま:主人公のモデルは、私が指導員時代に出会ったダウン症の高校生です。彼は吃音があって癇癪持ちだけど、ユニークな子で。黙々と哲学者のような顔をして創作をしていたかと思えば、好物のペプシが飲めなくて泣いてしまう。思うままに生きる彼は私にはすごく魅力的に見えました。そんな彼の姿や周囲の視点を通じて「障害」の捉え方を描きたいと思いました。

鳥居:私も読ませていただいたんですが、この本大好きです! まず思ったのが、「私、けんちゃんに似てるな」ってこと。

こだま:え、どのあたりが?

鳥居:たとえば……240ページでけんちゃんが「パンはパンでも食べられないパンは?」ってクイズを出すじゃないですか。

こだま:すごい、ページ数も正確に覚えてくださっている!

鳥居:このクイズ、普通は「フライパン」が答えだけど、けんちゃんの答えは「豆パン。僕が豆を食べられないから」っていう、すごく自分基準な答えで。実は、私も昔まったく同じクイズを出したことがあるんです。

こだま:鳥居さんの答えは?

鳥居:「レーズンが入ったパン」。私、レーズン嫌いなんで。

こだま:答えまで一緒だ(笑)。


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