「定年までに返せるはずだった」住宅ローン繰上げ返済予定の月収33万円の40歳サラリーマン、銀行からの“金利上昇通知”に戦慄したが…3年後の2029年に迫る〈もっと恐ろしい事態〉【FPが警告】

「定年までに返せるはずだった」住宅ローン繰上げ返済予定の月収33万円の40歳サラリーマン、銀行からの“金利上昇通知”に戦慄したが…3年後の2029年に迫る〈もっと恐ろしい事態〉【FPが警告】

「会社はこのままで大丈夫か」「ローンの支払いは続けられるか」40~50代では、漠然とした将来への不安が頭をよぎるものです。しかし、その不安の正体を具体的にシミュレーションできている人は多くありません。実は、多くのサラリーマンにとっての危機が「2029年」にセットされていることをご存じでしょうか。一体なにが起きるのか。本記事では、FPの川淵ゆかり氏のもとへ寄せられた相談事例をもとに、中高年サラリーマンが「あと3年」で備えるべきことを紐解いていきます。※事例は、プライバシーのため一部脚色して記事化したものです。

部品メーカー勤務、40歳の苦悩「家も会社も安泰じゃない…」

部品製造業の総務部に勤務する40歳のAさんは、37歳のパート勤めの妻と5歳の息子とともに、5年前に購入した戸建て住宅に住んでいます。子どもも可愛い盛りで幸せなはずなのですが、ここ2年ほど、将来のことで悩む日々が続いています。悩みの種は、大きくわけて「勤務先」と「住宅ローン」の2つです。

経営不振の会社、迫りくるリストラの足音

まず気がかりなのは、勤務先の行く末です。経営者である社長はすでに70代で、後継者がいない状態。社長はコロナ禍で新型コロナウイルスに感染したことで、その際に一度会社の存続が危ぶまれたこともあり、社内では常に「会社の売却」の噂が絶えません。また、外部コンサルを入れてDXを進めましたが、失敗して赤字に。さらには、円安による原材料の値上がり、金利の上昇による借入金の支払い利息増などが、経営を圧迫しています。

「もし、このまま会社が売却された場合、会社は残ったとしても経営悪化を理由に大幅なリストラもあるのではないか……」そんな噂も。Aさんの月収は33万円ですが、すでにボーナスはカットされており、40代になってから、不安は募るばかり。これからの収入はもちろん、自分もリストラ対象になったらどうしようか、と悩んでいます。総務一筋でやってきたAさんには、武器となるような資格や特技もなく、これまで転職など考えたことすらありませんでした。

「5年ルール」の猶予期間中だが…金利上昇の恐怖

もう一つの悩みの種は、5年前に組んだ「変動金利型住宅ローン」です。一人息子の成長に伴って教育費もこれからますますかかるというのに、銀行からは金利上昇の通知が届いています。現在は変動金利特有の「5年ルール(金利が上がっても5年間は毎月の返済額を変えない仕組み)」のおかげで手出しの金額は変わっていませんが、その内訳をみると、支払う利息の割合は確実に増えています。ところが、猶予期間が終わったあとの返済額アップも気になりつつも、いつから上がるのかもよくわかっていません。

70歳まで続く長いローン。家を購入したときは「繰上げ返済を頑張って定年退職前までには終わらせるぞ!」と意気込んでいましたが、車や家電の買い替え、昨今の物価上昇、そしてボーナスカットが重なり、思ったように実行できていません。

「家計も会社も同じだな。物価高に金利の上昇で頭が痛いよ。家を買ったときは物価高や金利の上昇なんて考えてもみなかったよ」とAさんは頭を抱えます。

サラリーマンを襲う「2つの2029年問題」

Aさんのような40代会社員にとって、実は2029年に会社や家計にとっての大きな問題が2つ同時にやってきます。

1.「情報I」世代の襲来による失業

1つ目は、データ分析やプログラミングスキルといったITスキルを持つ若手が大量に社会へ出てくることによる影響です。2022年に高校で情報科目が必修となり、2025年1月の大学入学共通テストからは情報Iの科目が追加されました。こうしたた学習や受験勉強をしてきた若手が大学を卒業し、就職するのが2029年度からなのです。

たかが高校での学習内容と侮ってはいけません。共通テストの情報Iはレベルが高く、2年目となった2026年1月の内容は難化しており、平均点は56.59点との発表もありました。筆者も実際に解いてみましたが、単なる知識だけでなく、長文読解力・論理思考力・プログラミングスキルが問われる、かなり高度な内容でした。

こういったITスキルのある若手が会社に入ってくると、ITスキルの差がコミュニケーションの壁になる可能性も大いに予想できます。それはやがて、モチベーションや生産性の低下にまでつながっていくともいわれています。

さらに、転職市場への影響も深刻です。ITスキルを持つ若手が増えれば、中高年は彼らと仕事を奪い合うことになります。AIの発達も凄まじい現代、ホワイトカラーの転職は年々難易度を増し、「ITスキルはあって当然」の流れになっていくでしょう。

2.住宅ローンの「支払い増」が現実になる年

2つ目は、住宅ローンの返済額改定です。日本でマイナス金利が解除されたのは、2024年3月のこと。それ以降、政策金利の上昇はすでに4回行われており、合わせて0.85%の上昇となっています(図表参照)。この政策金利は、日銀の政策決定会合で決まり、変動金利型ローンの目安となります。

出所:筆者作成 [図表]日本の政策金利推移(マイナス金利解除後) 出所:筆者作成

2024年3月から金利の上昇が始まっているため、その5年後、つまり「2029年春以降」に猶予期間が終了し、毎月の返済額が実際にアップする時期を迎えるのです。変動金利型住宅ローンの利用者は全体の7割を超えていますから、影響は大きいでしょう。

筆者はこれらを合わせて「2つの2029年問題」と呼んでいます。年功序列で「5年待てば給料が勝手に上がる」という時代は終わりました。5年ルールの猶予期間は、あくまで“返済額アップに備えるための準備期間”です。

・返済額はいくらになるか。

・定年退職時のローン残高がどれだけ増えるか。

ローン完済を目指すためにも、この2点はシミュレーションでいまのうちに確認しておきましょう。

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