◆出所後の「信用マイナス」から、ブルーオーシャンへの到達

「銀行へ行っても法人口座すら作れない。履歴書に穴があるどころか、真っ黒なわけですから。まさに『信用マイナス』からのスタート。
でも、絶望はしませんでした。刑務所の中で、仕組みさえあれば人は再起できると確信していたからです」
当初、手っ取り早くキャッシュを作るために、グレーな領域に手を出しかけたこともあった。風営法違反で罰金刑を受けたとき、草間はハッと目が覚めたという。
「このままでは、またあの塀の中に戻ることになる。それだけは絶対に避けなければならない。そこから『完全にホワイトな領域』で勝負すると決め、舵を切りました。そこで出会ったのが、現在の主軸である『お年寄り見守り事業』です」
きっかけは、自宅の電気機器が故障した際、専門業者がいないために多くの家庭で放置されているという事実を知ったことだった。
「ガス機器のサポートはあるのに、電気機器のサポートは誰も手をつけていない。しかも、ターゲットは困りごとを抱えた高齢者。彼らにとって、電球一つ交換できないことは死活問題です。
そこに『かかりつけの便利屋さん』のような仕組みを作れば、必ず必要とされると思ったんです。競合がいない、まさにブルーオーシャンでした」
◆誰がやっても同じ成果が出る「再現性」の魔法
草間氏のビジネスの最大の特徴は、徹底的な「再現性」にある。DOGLORYグループが展開するフランチャイズモデルは、営業経験ゼロの若者でも、翌月から成果を出せる仕組みが構築されている。「僕が刑務所で学んだのは、『人に依存しない』ということです。優秀な人材を集めるのではなく、誰がやっても同じ結果が出る『台本(スクリプト)』と『フロー』を設計する。
営業トークの順番から、お年寄りに安心感を与えるための服装、マグネットやカレンダーといったツールの活用まで、すべてをマニュアル化しました。感情ではなく、ロジックで動く仕組み。これが、僕が塀の中で見つけた答えです」
かつて「威圧」と「暴力」で人を動かそうとしていた少年は、今、「構造」と「信頼」で人を動かす経営者へと変貌を遂げた。
「僕の会社で働く若者には、かつての僕のような境遇のやつもいます。彼らに必要なのは更生や矯正じゃない。『稼げる仕組み』と『知識』です。
まっとうな稼ぎ方を知らないから、安易な悪事に走る。だったら、ホワイトな世界で圧倒的に稼げる仕組みを僕が渡せばいい。それが、川崎という街で育ち、8年という代償を払った僕の責任だと思っています」

