◆入隊後に目の当たりにした暴走族の現実

「父さんが東北のチームの頭、母さんもバイク好きなのもあって、小さい頃からバイクが大好きでした。暴走族に入る前は、やっぱり怖いイメージでしたよ。でも逆に自分の目で確かめようと思っていざ関わってみたら、優しくしてくれるし、何かあったら助けてくれるし、いい人じゃんって」
約30人いるチームのLINEグループで、集会の声がかかる。深夜の国道を無免許運転で爆走し、行く先々で原付スクーターの窃盗を繰り返した。ただ、楽しい思いばかりではなく、暴走族の世界の怖さを目の当たりにしたという。
「自分のバイクが事故ったとき、運転してた先輩の下半身から血がドバドバ出ててガチ怖かった。あと抗争もヤバくて。タイマンでキンタマを蹴られてパンパンに膨れた人とか、足の骨が曲がっちゃったり、耳が半分取れかけてたり。何かあっても救急車とか警察を呼ぶわけにもいかないし……」

「暴走族やってると、いつか警察に捕まっちゃうじゃないですか。僕も何回警察で取り調べを受けたか数えきれないですよ。もう中三だし、ちゃんと高校に入って卒業もしたいと思うと、このまま暴走族にいてもなぁって思っていました。今は、暴走族OBがいる旧車會にも顔を出しています。基本的に交通ルールを守っているし、僕は暴走行為がしたいんじゃなく、みんなで走るのが好きだって気づいたんで」
◆味わいたいのは“青春”?
今回取材した2人に共通するのは、気合こそ入っているが“逮捕されたくない”という気持ちだ。前出のバーガー菊池氏曰く、その理由をこう分析する。
「昔は基本的に現行犯だけで、『警察が来ても逃げ切れば大丈夫』という状況だったので、運転技術を磨いてパトカーを巻いてました。それが今は、パトカーの車載カメラや街の防犯カメラなど、証拠となるものがたくさんあるんで、後日でも逮捕されやすい。それよりも、一緒に走りたいなど“青春”を彼らは味わっている印象がありますね」
監視社会のなかでも、目立ちたい。認められたい。仲間と同じ時間を共有したい――。数は減り、規模は小さくなっても、彼らの衝動そのものは消えていないのだ。
編集者・バーガー菊池氏
岩手県出身。実話ナックルズ編集部在籍。不良からエロまで手掛ける。編集担当した『旧車會天国 2nd』(大洋図書)が発売中
取材・文/ツマミ具依
―[[令和の暴走族]の肖像]―
【ツマミ具依】
企画や体験レポートを好むフリーライター。週1で歌舞伎町のバーに在籍。Twitter:@tsumami_gui_

