今回は、樋口さんが明かしてくれた、斬新な”対抗措置”についてレポートします。
◆お向かいの非常識な車のとめかた
樋口さんの自宅前の道路は、道幅わずか4メートルの一方通行です。本来なら、お互いの譲り合いがあってこそ円滑な通行が保たれるはずの場所でした。ところが、向かいの若い夫は、広々としたガレージがあるにもかかわらず、平然と路上に車を放置し始めたそうです。
でも、4メートルしかない道に1.8メートル近い車幅のミニバンが停まれば、実質的な有効幅員は2メートルちょっと。他の車は、サイドミラーをこすらないよう死ぬ思いで徐行して通り抜けていました」
樋口さんにとって最も深刻だったのは、自身のガレージからの出庫です。
「私の車を出す際、向かいの車が邪魔で、何度も何度も切り返しを強いられるんです。朝の忙しい時間帯にこれをやられると、本当に腹が立ちますよ。一度、耐えかねて本人に『邪魔なので移動してもらえませんか』と言いに行ったことがありました。
でも、『あー、はいはい』と、何ら悪びれた様子も見せず、面倒くさそうに数メートルだけ前後にずらすだけ。あの時の何食わぬ顔が、どうしても許せなかったんです」
◆目には目を、歯には歯を
それ以来、樋口さんの胸の中では怒りの炎がくすぶり続けました。自治体や警察への相談も考えましたが、決定的な証拠や法的拘束力の弱さを考えると、解決には時間がかかると判断したのです。そんなある日、いつものように堂々と居座る迷惑駐車を見下ろしていた樋口さんの脳裏に、一つの「作戦」が浮かびました。
「ちょうどいい具合に、向かいの車が私の家の正面ギリギリに停まっていたんです。私は自分の家の敷地境界線ギリギリの路上に、家族の自転車2台を縦列に並べて置いてやりました。これで、道路の有効幅員はさらに数十センチ削られました」
その光景は、まさに「すり抜け不可能な関門」でした。大型の普通乗用車が通るには、数センチ単位の精密な操縦を要求される極限状態。樋口さんは2階の自室のカーテンの隙間から、階下で起きるであろう「ドラマ」をじっと観察し始めました。
「性格が悪いと思われるかもしれませんが、それまでの半年間のストレスを考えれば、これくらい当然だと思っていました。あえて『通れるか通れないか』の絶妙なラインを攻めたんです。罠を張った狩人のような気分で、じっと獲物を待っていました」

