日産自動車
日産がスポーティータイプのセントラを長年出さなかったことで、しびれを切らしたアメリカのディーラーが動いた。アリゾナ州の正規店が独自に開発した「SE RS」は総額約480万円で、ミアータより手頃だ。GTアカデミー優勝者がセッティングを担当した本格派となっている。
◆「日産ファンが求める車を私が作る」
アリゾナ州スコッツデールにある日産正規ディーラー、ピナクル日産が、セントラの独自カスタムモデル「SE RS」(スペシャル・エディション・ラリースポーツ)を売り出す。米自動車専門メディアのドライブが報じた。仕掛け人は、同ディーラーに勤めるニック・シェアー氏。セントラの上位グレードのSR(上から2番目)をベースに、6995ドル(約110万円)を上乗せし、ニスモモデルの車高調整式サスペンションやキャットバック式マフラーなどを装着した。シェアー氏は、「日産ファンが求めているのに工場からは出てこない車を、私が作っていく」と意気込む。
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カナダ自動車ニュースサイトのカー・バズによると、シェアー氏は、「2000年代初頭のチューナーブームの頃、みんなが車に恋をしたあの時代に戻すんだ」と思いを語っている。足回りのセッティングを担当したのは、日産のレーシングドライバー、ブライアン・ハイトコッター氏。同氏は日産とプレイステーションが共同で運営していた「GTアカデミー」の優勝者でもある。外装には350Zニスモにインスパイアされたサイドストライプが加わり、内装は赤と黒のレザーに刷新される。
◆ミアータより安く、シビックSiより手頃
米オートピアンの分析によれば、SE RSパッケージは部品代と工賃込みで6995ドル(約110万円)。セントラの車両本体価格と合わせても総額3万840ドル(約480万円)に収まる計算だ。新車の平均取引価格が5万ドルを超えるアメリカ市場において、3万ドル台前半でスポーティな走りを楽しめる車は貴重である。「走って楽しい車」というカテゴリーで現在最も安いのはマツダMX-5ミアータだが、SE RSパッケージ付きのセントラはそれより約700ドル安い。性格が近いホンダ・シビックSiと比べても約2000ドル安く手に入る。ミアータは2シーターのオープンカーで実用性の面では今ひとつだが、セントラなら後部座席と実用的なトランクを備えていると、オートピアンは評価する。
◆それでも価格がネック
心意気は高く評価されているものの、いざ購入するとなると金額面で二の足を踏むファンが多いようだ。オートピアンのコメント欄では次のような声が上がっている。
「ディーラーがこういうことをするのは好きだが、これはどうもイマイチだ。この価格帯なら、より魅力的な選択肢がいくつもある」
「その金額を出すのなら、新型マツダ3カーボン、CPOインテグラ、CPOジェッタGLI、新型エラントラNライン、新型K4 GTライン、そしてSi以外の新型シビックを買える。見た目は悪くないが、中身が伴わない見せかけだけの車だ」
「2万4000ドルの車にディーラー装着の見た目だけのパッケージが7000ドルとは。見た目のために30%近い割増料金だ。マツダのディーラーに行けば、より良い性能で、より安い価格で、非常に良質なミドルレンジの3を手に入れられる。正気とは思えない」
「2026年式スバル・インプレッサRSなら、輸送費込みで3万690ドルだ。車高調整がしやすいコイルオーバーではないがローダウンしており、180馬力の2.5Lエンジン、AWD、RS専用内装・ホイール・スポーツチューンドサスペンションなど、正規に設計されたパーフェクトなスポーツパッケージになっている」
一方で、日産USA本社はオートピアンに、「ディーラー独自の取り組みであり公式ニスモモデルではないが、情熱は歓迎する」とコメントしている。ディーラー独自の取り組みは今後、ファンベースを広げられるだろうか。
