◆他者に対しておおらかな見方ができるワケは…
こうして自分の感情をコントロールできるようになることで視野も広がる。それが、他者を全的に受け入れること。年齢を重ねるごとに目指すべき人物像を問われ、MEGUMIはこう語っています。<一番は「他者に優しくいたい」ということです。(中略)40代になってあらゆる経験を重ねてきているので、少しずつ「みんな色々あるんだ」と思えるようになってきている。>(『CREA』2024年6月9日)
<そうやって『完璧にはできないもんだよね』と自分を許すと、他者のことも許そうと思えるようになったんですよ。自分だってトライ&エラーを繰り返しているんだから、って。年齢を重ねると人に厳しくなりがちですけど、そうするとまわりからだんだん人がいなくなっちゃいますよね……>(『FRaU the Earth』2024年5月4日)
わかりやすく言うならば、老害にならないための心構えです。どんな年代、性別の人も、みんなそれぞれのやり方で、人生の正解を必死に導きだそうとしている。自分の「感情の手綱を引く」という客観視できる心の遊びがあるからこそ、他者に対してもそのようにおおらかな見方をすることができる。
◆“無双”とも呼ぶべき現状の下には、辛酸を嘗めた日々があった
けれども、それは悟ったような高みの境地ではなく、むしろMEGUMI自身のもがき苦しんだ経験からくる、したたかな心の奥行きなのではないでしょうか。<人は調子がいいときって弱かった自分を忘れたりするものです。私も、母として、女性としての経験を積んで、何でも分かったような気がしてしまいがちです。それは愚かなことで怖いこと。痛みがあるということは決して恥ずかしいことではないし、自分に傷がないと他人の痛みを理解することはできない。いつか人に寄り添えるときのために、このときの自分の気持ちを忘れてはいけないと心から思っています。>(『mi-mollet』2024年11月22日)
プライベートの危機を乗り越え、20代とは違った形で成功を収める。のみならず、世間をあっと言わせる新たな恋愛も楽しむ。
しかし、この“MEGUMI無双”とも呼ぶべき現状の下には、辛酸を嘗めた日々があった。そんなことを思わせる名言の数々です。
このメンタリティは、バランス感覚を見失いがちな中年男性にこそ刺さるはずです。
文/石黒隆之
【石黒隆之】
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。X: @TakayukiIshigu4

