
それはNSCで叩き込まれた反射神経であり、農業高校で身についた、身体を使って現実と向き合う感覚でもある。一見ちぐはぐに見える経歴だが、いまの活動を見ていると、不思議とすべてがつながっているようにも思えてくる。
なぜこのルートを選び、どこで方向を変え、いま何を面白がってここに立っているのか。少し遠回りに見える人生の途中を、おつるちゃん自身の言葉で語ってもらった。
◆「おつる」というユニークな名前の由来
――おつるさんという名前が古風でかわいらしいです。おつる:おつるは「おまた、つるつる」が由来なんです。これ掲載しても大丈夫なのかしら(笑)。
――美しい顔をして大胆なことを言いますね(笑)。
おつる:親しみやすくて、覚えやすい名前かなと思って付けたんです。ファンの人が覚えやすいですし、ひらがな3文字って可愛いなと思ったんです。あとは肌を褒められることが多いので「お肌つるつる」や、実家がお蕎麦屋なので「おそばつるつる」にもかけているんです。
――なかなかユニークな発想です。現在の主な活動は何ですか?
おつる:大人向け写真動画クリエイター、グラビア、タレントです。大人向け写真動画クリエイターは、ただのクリエイターとは違い、ちょっとアダルティな活動もしています。自分らしくいポジティブで明るい色気を表現し、発信することが活動の中心です。
――具体的にはどういう活動をしているんですか?
おつる:クリエイター支援プラットフォームでグラビア写真や動画を販売したり、台湾と日本でイベントを開催したり、YouTubeやラジオに出演したりしています。あとは、たまに演技のお仕事もしています。
――台湾でも活動しているんですか?
おつる:TAE(台湾アダルト博覧会)に参加して、個人での撮影会、晩餐会、ファンミーティングをやっています。
――TAEは主に日本のセクシー女優が多数参加していますが、セクシー女優ではないおつるさんも参加するんですか?
おつる:ソフト・オン・デマンドが運営する飲食店の「SOD LAND」がブースを出展していて、そこにたまたま呼んでいただいたんです。そこで台湾のファンができて、何回か台湾に行くたびにファンの方が増えていったんです。それで個人イベントもできるようになりました。
――海外で人気が出ると思っていましたか?
おつる:全然考えてもいなかったので、ちょっと嬉しかったです。
――おつるさんは日本的な美人なので、海外でも人気が出そうです。
おつる:「アジア受けする顔だね」って言われたことがありました(笑)。
――日本と台湾のファンは違いますか?
おつる:台湾だと女性のファンもいますし、年齢層も30代の方が中心で、ちょっと若いイメージがあります。だから、同性のファンがいるのは嬉しいですね。
――同性のファンはおつるさんに何を求めているんですか?
おつる:「笑顔や楽しい感じが好きです」と言ってくださるので、雰囲気や楽しそうなところが好きみたいですね。
――SNSも活用していますか?
おつる:X、Instagram、TikTokなどをやっています。
――ぜひフォローしましょう。大人向け写真動画クリエイターになったのはどうしてですか?
おつる:ソフト・オン・デマンドが作ったユニット「生中野女子~ナマジョ。」に加入したからです。私、人気セクシー女優の紗倉まなさんの大ファンなんです。それで、まなさんのイベントに行ったとき、事務所の社長と出会ったのがきっかけでソフト・オン・デマンドの飲食店で働き始めたんです。もともとお笑い芸人を志望していたし、表に出ることが好きなので、「やってみよう」と思いました。
――紗倉まなさんはどこで知ったんですか?
おつる:バラエティ番組の『ゴッドタン』に出演しているのを観たのがきっかけでした。アダルトな作品を観るのは好きだったんですけど、具体的な女優名には全然興味がなかったんです。番組を観て「この女性、かわいい」と思って調べたら、セクシー女優をやっていると知って、さらに調べたらイベントをやっていたので行ったんです。まなさんは小説も書いているので、発売イベントや誕生日イベントにも行きました。
――ソフト・オン・デマンドの飲食店では、どういう仕事をしていたんですか?
おつる:東京、中野のソフト・オン・デマンド本社にあったBARでアルバイトをしていました。最初はセクシー女優さんのヘルプで働いて、途中からファンが付いてきたので、1人でBARに立ったり、イベントをやったりしていました。最初は本当に手伝う程度だったんですよ。
――そこから、ソフト・オン・デマンドの飲食店で働く素人女性が「生中野女子~ナマジョ。」を結成するんですね。
おつる:私たちみたいな素人の女の子を集めて、ユニットを組む計画が出てきたんです。最初はYouTube配信をしたんですけど、その場でユニット名などを決めました。そこからライブやイベントに出るようになりました。イベントでは組体操をしていたんですけど、私は運動が苦手なので「うわ、マジか……」と思いました。でも、ファンの反応がよかったので嬉しかったですね。
――ライブでは、穿いている下着をファンに投げるパフォーマンスもしていましたよね。
おつる:いろいろやっていました。あとはABEMAにも出演して、いろんなパフォーマンスをしたら、めちゃめちゃファンが増えて、Xのフォロワー数も1~2万人くらい増えました。
――そういった過激なパフォーマンスを性的な目で見られることに関して、抵抗はなかったですか?
おつる:全然抵抗はなくて、むしろ見られて嬉しかったです(笑)。SNSのDMでも「お世話になっています」って書いてくる人もいるんですよ。
――そこで、セクシー女優にならない理由を聞きたいんですが。
おつる:興味はあるし、アダルティな表現も好きなんですけど、自分がやりたい表現とは違うかなと思っていて。あと、素人感を売りにしているので、プロとして完成されすぎない感じも大事にしていきたいと思っているんです。それに、しちゃうと相手のことを好きになっちゃうタイプなので、セクシー女優には多分向いていないですね(笑)。
――アダルト作品は18歳から観られますからね。今の活動とセクシー女優との違いはどこですか?
おつる:いまだにバストトップは出していないので、そこを出すか出さないかの差は大きいですね。でも、ギリギリは攻めています。
――その微妙な乙女心が、男性はあまり理解できないんですよ。
おつる:私は「見えるか見えないか」が一番だと思うんです。例えば、下着も大胆に見せるより、チラッと見えるほうがそそられるじゃないですか。
――なるほど。それは男性の思考と同じなんですね。
おつる:本当ですか? ラッキースケベぐらいがいいなと思っています。そこが、セクシー女優と大人向け写真動画クリエイターの違いですかね。
――「生中野女子~ナマジョ。」では、どんな活動をしているんですか?
おつる:これまでオリジナル曲を発表してライブをしたり、パフォーマンスをしたり、ネット番組に出演したり、週刊誌で特集してもらったりしていました。
◆農業高校から吉本興業の養成所に入学

おつる:都内の農業高校に通っていました。
――それは珍しい経歴ですね。男子生徒が多いんじゃないですか?
おつる:それが、男女比は半々でした。
――どうして農業高校に入ったんですか?
おつる:昔から芸能活動に憧れていたので、芸能人が多く通っている日出、堀越、日本芸術などの高校に行きたかったんです。でも「都立にしなさい」と親に反対されて、家の近くの高校を調べることになりました。そこで高校の文化祭に行ったら、弾き語りライブをしている男子生徒にホレてしまって、その農業高校にしようと思ったんです(笑)。
――特に農業に興味があったわけではないんですね(笑)。芸能活動に憧れていたということは、好きなアイドルがいたんですか?
おつる:世代的にはハロー!プロジェクトやAKBグループが流行っていたんですけど、Eテレの「天才てれびくん」の「てれび戦士」と呼ばれる子役タレントに憧れていました。親に内緒でオーディションに応募して、一次審査に合格したんですけど、合格通知が親にバレて「お金がかかるからダメ」と言われたんです。
――順調にいけば子役になれたかもしれないですね。高校時代はモテたのでは?
おつる:高校時代に初めての彼氏ができたんですけど、フラれて、その反動で十数キロ激太りしたんですよ。だから全然モテていなかったです。
――農業高校は、具体的にどういうカリキュラムなんですか?
おつる:食品科と園芸デザイン科の2つがあって、私は園芸デザイン科でした。野菜を作ったり、フラワーデザインアレンジメントをしたり、造園作業やバイオをやったり、結構いろいろやっていました。授業はかなり大変でしたね。数学や体育ももちろんあるんですけど、その中に農業の時間もあって、資格も取れました。私は農業検定3級とフラワーデザインの資格を取りました。
――農業高校ならではの行事や、面白い話はありますか?
おつる:普通の高校の文化祭って、お化け屋敷やカフェがあるじゃないですか。でも、農業高校は催し物も野菜に関係していないといけないので、お化け屋敷も野菜のお化けなんです(笑)。あとは、都庁に花を植えに行きました。
――農業高校あるあるはありますか?
おつる:栽培した野菜を自分たちで食べたり、家に持ち帰れたりするので、親は喜んでいました。あとは、意外と農業高校出身者は将来、農業に関わっていなかったり、虫に抵抗がなくなったり、履いている靴が汚れがちだったりしますね。
――農業高校を卒業してからの進路は?
おつる:セブ島に叔父がいるので海外留学するか、NSCに行くかで悩みました。
――NSCって、吉本興業のお笑い芸人養成所ですよね?
おつる:はい。高校生のときにお笑いにハマって、小中学校が一緒だった女の子と漫才をやっていました。その子と一緒にNSCに入る予定だったんですけど、彼女が前日くらいに「やっぱり辞めておく」と言ってきて、私が1人で入学しました。
――漫才とは意外ですね。
おつる:囲碁将棋さんの漫才が好きだったんです。その漫才に憧れて入学しました。当時は東京のヨシモト∞ホール(現・渋谷よしもと漫才劇場)によく通っていて、チーモンチョーチュウさん、パンサーさん、ジャングルポケットさん、ジューシーズさん、アームストロングさん、LLRさん、エリートヤンキーさん、マヂカルラブリーさんなどが出演していました。
――かなり詳しいですね。
おつる:結構通っていました。最初はテレビ番組で観たパンサーの向井さんがかっこよくて興味を持ったんですけど、実は芸人さんだと知って、ライブも観に行くようになりました。そこからさらにお笑いにハマって、いろんな芸人さんを観るようになったんです。
――NSCに入るのは、かなりの覚悟がいりますよね。
おつる:本物の芸人さんを観ていると、自分たちも漫才を作りたくなったんです。
――どんなネタをやっていたんですか?
おつる:癒し系というか、まったり系の漫才でした。「なんでやねん!」じゃなくて、スローモーに「なんでだよ~~」みたいな(笑)。
――可愛い(笑)。入学時に試験はあるんですか?
おつる:試験はないんですけど、吉本興業の偉い方が1人くらいいて面接をするんです。そこで自己紹介や自己PRをしました。私は東京NSCでしたけど、同期は600人くらいいました。上下関係の厳しさもあって、1日で退学する人もいましたよ。芸人さんに会えるから、という理由で入る子もいて、特に女の子はすぐ辞めていく子が多かったです。
――入学金はいくらくらいでしたか?
おつる:他の事務所の養成所よりも安くて、当時は40万円くらいでした。
――期間は?
おつる:1年です。最後に卒業ライブがあるんです。相方探しの会、発声練習、大喜利、ネタ見せ、ダンスや演技、それになぜか英語の授業もありました。

