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【鈴鹿央士さんインタビュー】「初舞台は人生で一度きり。これほど素晴らしい先輩方と同じ舞台に立てるのは運がいい」

【鈴鹿央士さんインタビュー】「初舞台は人生で一度きり。これほど素晴らしい先輩方と同じ舞台に立てるのは運がいい」

2025年10月9日に開幕する、シェイクスピアの四大悲劇『リア王』の舞台に、鈴鹿央士さんが出演します。演出を手がけるのはイギリス人演出家・フィリップ・ブリーン氏。稽古に臨む鈴鹿さんに心境を伺いました。

人との出会い運は、人一倍強い

鈴鹿央士さんにとって実は初舞台となる、シェイクスピア原作の『リア王』。大竹しのぶさんがタイトルロールを演じ、宮沢りえさん、成田凌さん、生田絵梨花さんほか、経験・実力ともに極まった共演者がずらりと顔を揃えています。鈴鹿さんにとってはチャレンジングな現場なのでは……?

「自分でもそう思います(笑)。でもやるしかない。初舞台は人生で一度きりですよね。そこで、これほど素晴らしい先輩方と同じ舞台に立てるのは運がいい。緊張しますが、幸せ者だと思います。ポジティブ……? 確かに、人との出会いの運は人一倍強いと思うんです。そう思うほうが運が強くなるらしく、そう思って生きていたら、よりポジティブになりました(笑)」

稽古前は舞台に立つこと、またシェイクスピア作品について、どのような思いを抱いていたのでしょうか?

「舞台は公演が始まれば毎日が本番で、一度始まってしまえば巻き戻すことはできません。そのスリルやお客さまが目の前にいる空気感とか、1冊の台本を何回も繰り返して深堀りすることだったり、すべて楽しみなことが多かったです」

鈴鹿さんが演じるエドガーは、人を疑うことを知らない正直者ですが、義弟の策略で勘当されてしまう役どころ。

「『リア王』は人間の裏側、闇のようなものがにじみ出る悲劇です。そのなかでエドガーは希望のような存在で。家族への信頼や忠義心が強く、それを見失うことなく進んでいきます。成長していく役でもあるので、それを舞台上でどう表現できるかを考えているところです。今の時代、例えば友人関係でも些細なことや噂話などで心が揺れ動いて苦しくなったりすることがありますよね。でも彼は信じるものを信じ、自分の正義を貫く。物語としては人間の特性、本質みたいなものを描いています。僕自身はそんな風にカッコよく生きていませんし、時代も違いますが理解はできます。それが、シェイクスピアが時代を超えて上演され続ける理由かと、うっすらですが(笑)、わかる気がします」

昨年にはロンドンで、『リチャード3世』を観劇。今回演出を務める、フィリップ・ブリーンさんともカフェで対面したそう。

「『初舞台だからと怖がらなくていいよ』と優しく言ってくださったのですが、5分ほどですぐに、『ボイストレーニングに行ってね』と(笑)。それから通い始めたのですが、僕の喉は歌い方を知らないらしいです。鍵盤でドの音を鳴らすと、喉はそれとは違う音を出す。喉がバグっていると(笑)。それは色がついてなくて、ゼロからスタートということでもありますと言われました。河島英五さんが好きなのですが、河島さんは力強い声で、喉の筋肉を動かす練習にもなるそうなので、お気に入りの曲『時代おくれ』で練習しています(笑)。それから高音のために、郷ひろみさんの曲も練習に使わせていただいたりしています」

舞台ならではのチーム感、一体感を味わう日々

取材に訪れたのは、稽古が始まってから2週間経った頃。舞台の雰囲気が「つかめたようで、つかめていない。そんな感じで」と鈴鹿さん。

「今は、セリフがまあまあ入って…いてほしいです(笑)。まだちゃんとなじんでいないので噛んでしまったり、文字は追えていても、意味を含めて覚えるところまでいっていない感じです」

初舞台ですから、「稽古場に通うのも初めて、稽古場の風景もパンフレットでしか見たことがありませんでした」と言います。

「自分が出る場面ではなくても稽古を見て、ずっと同じメンバーで毎日過ごす。そのチーム感、一体感は映像作品とは違うところです。しかもそこに、大竹さんや宮沢さんがいらっしゃるのは本当に贅沢です。どんな演出を受け、そこから何を取捨選択していくのかを目の当たりにしていますが、それでも頭の中までは覗けません。お芝居を見ればもちろん伝わってくるけれど、そこに至るまでに何を考えたのだろうと……気になります」

大変なスピードで、多くのものを吸収している真っ最中。初日を控えた今、どんな思いを抱えているのでしょうか。

「(山崎)一さんが『今は一幕一幕やっているけど、通しでやると違うし、お客さんの前でやるのもまた違うよ』と。それってどういう感覚だろう? まだわかりませんが、今はそれくらいがちょうどいい気がしています。カメラの前でお芝居するのも、ときに『恥ずかしい…』と思うのに、何百人の方が目の前にいるのはまた別もの、未知の体験です」

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