
お料理教室&上方食文化研究會(上研)を通じて上方の家庭の味を伝える日本料理家・吉田麻子先生と、奈良在住の編集者・ふなつあさこの“Wあさこ”がお届けする、上方(関西)の食にまつわる大人の社会科見学。
今回は、江戸時代の町並みを再現した展示で人気の「大阪くらしの今昔館」と、大阪人に愛されるうどんの名店「道頓堀今井」で、楽しく&美味しく上方の食文化を学んできました。
江戸時代の大阪へタイムトラベル! 「大阪くらしの今昔館」

天神橋筋六丁目。日本一長い「天神橋筋商店街」の北側に位置する、通称“天六”エリアにある、大阪市立住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」。外観はごく普通のビル。エレベーターで8階へ。エントランスに到着。
麻子先生から「あさこちゃん、今昔館取材行きたいわ〜」とご要望いただいていたものの、まだ頭の中には正直、疑問符が。

が、しかし! 9階の展示室には、江戸時代後期、天保の初めごろ(1830年代)の大坂・船場をイメージした架空の町「大坂町三丁目」の町並みが! そのなかを実際に歩くことができるんです。楽しい〜!

メインストリートの「町通り」には、大店(おおだな)が並んでいます。なかでも立派なしつらいの薬屋さんの台所は、備え付けタイプ。

大店であってもふだんの食事は質素。家族も使用人も同じ土間のすぐ横のスペースで食べていたようです。
それぞれに自分の食器をしまう専用の箱があり、箱の蓋に食器を並べて食事していたようです。合理的。

薬屋の座敷は正月のしつらいが再現されていました。このようなお膳は、町の寄り合い(ミーティング)を行う「会所(かいしょ)」でも出されていたようです。

食事においてもハレとケをきちっと切り替えていたという大坂商人。ハレの日のお膳は、ぬたや鯛とおぼしき焼き魚など、なかなかリッチなメニュー。

路地裏には、庶民が暮らした裏長屋が再現されています。多くの場合ワンルームなので、台所は土間の両脇のスペースを活用。反対側にしつらえられていたかまども大店に比べると簡易的なものでした。

裏長屋の炊事場には、刺し子をした鍋つかみが。大坂に限らず、江戸時代の人々はなんでもものを大切にしていました。着古した着物もこのように再利用してボロボロになるまで使い切り、最後は肥やしにしていたそうです。

9階の展示室では、45分で朝・昼・晩と一日の移り変わりを照明や音で体感できるほか、9〜3月は「商家之賑(しょうかのにぎわい)」、4〜8月は「夏祭之飾(なつまつりのかざり)」と、なにわ町家の歳時記を再現したしつらい替えが行われます。
落語家の故・桂米朝師匠による音声ガイドもあるので、落語ファンは必聴! また、着物をレンタルして街歩きを楽しめる「着物体験」もでき、インバウンドの観光客から大人気だそう。
そんな大坂町三丁目に別れを告げて、次の展示室へ。
明治・大正・昭和の“モダン大阪”を遊覧

明治・大正・昭和の大阪に関する8階の展示室には、床一面に大正13年のパノラマ地図が。土地勘のある方は、ご自宅などゆかりのある場所を必死に探していました。もちろん、麻子先生も(笑)。

時期やエリアの異なる大阪の町並みを再現したからくりジオラマが展示されているほか、「空堀商店街」で生まれ育った“悦子さん”の住み替え物語を、故・八千草薫さんのナレーションと映像で見学できます。
八千草薫さんって、大阪ご出身やったんですね!

ガスや電気など、家庭で使用するエネルギーの変化に合わせて、電化製品が登場したのは昭和に入ってから。コンロや炊飯器、家電の三種の神器のひとつ・冷蔵庫など、レトロな当時の製品やレプリカも展示されています。

こちらは、明治45年(1912)に開業した一大歓楽地「新世界」のジオラマ。シンボルタワー、エッフェル塔を模した初代通天閣の周りには遊園地「ルナパーク」が広がっています。ジオラマの中に飛び込んで遊びたい!

画像提供:大阪市立住まいのミュージアム 大阪くらしの今昔館
大阪くらしの今昔館では現在、企画展「古民家を直して暮らす」を開催中(4月5日・日まで)。
大阪の代表的な建築やまちの景観を数多く描いてきたイラストレーターの綱本武雄氏が、実際に古民家を修復・再生し、自宅として暮らし始める過程を、同氏のイラスト作品により絵本仕立てで紹介。
写真、記録ノートなども展示されているので、「古民家暮らし」のリアルな実情をうかがい知ることのできる貴重な機会です!

