
日本庭園の植物は、単に場所を「飾る」ためではありません。なぜ日本庭園には常緑樹が多く使われるのか。その理由は、四季を通じて変わらない「庭の骨格」を保つためです。海外からも羨望のまなざしを集める高度な「剪定」技術や、庭木の王様・マツが放つ存在感など、世界が注目する日本独自の庭木文化と美意識を、フランス在住の庭園文化研究家、遠藤浩子さんが紐解きます。
世界が憧れる、日本独自の庭木の文化

前回までの「日本庭園 超・入門」シリーズの記事(https://gardenstory.jp/series/日本庭園-超・入門)では、日本庭園史をたどりながら、池泉庭園や枯山水、露地といった代表的なスタイルを、文化財庭園の実例とともに紹介してきました。
今回は、そこから視点を少し変えて、「植物」に注目します。なぜなら、日本庭園の印象を最終的に決定づけている大きな要素の一つに、日本独自の庭木の文化があります。
日本庭園の植物は「飾る」ためではない
西洋庭園では、ボーダー植栽や刺繍花壇など、色とりどりの花が主役になることがよくあります。一方、日本庭園の植物は、どこか控えめです。満開の花で魅せるよりも、枝の流れや葉の重なり、光と影がつくる表情が風景を形づくるのです。

自然の素材を主に作庭が行われる日本庭園では、常緑樹が多く使われます。それは、四季を通じて庭の骨格を保つためです。そこに落葉樹や下草が加わり、春夏秋冬の移ろいをそっと伝えてくれます。一年中華やかである必要はない。時間の流れを感じられることこそが、日本庭園の魅力なのです。

理想的な調和のとれた自然の風景を志向しつつ、あたかも人の手など加わっていないかのように感じさせる景観が良しとされる日本庭園。
少々矛盾を感じるかもしれませんが、計算された手入れによって自然を表現する。その繊細な美意識の上に、日本庭園は成り立っています。植物たちは、その要となる存在です。
