花は控えめ、だからこそ美しい
日本庭園にも桜やツツジといった花木は使われます。しかし、それらが主役になりすぎることはありません。花は、視線を止め、季節を知らせる存在。咲いていない時間も含めてこそ、庭の美しさが成り立っています。
一斉に咲き誇る華やかさよりも、ふと目に留まる一瞬を尊ぶ。
それが、日本庭園が大切にしてきた植物のあり方です。

植物を見る目が変わると、庭園はもっと楽しい
次に日本庭園を訪れるときは、ぜひ植物の「姿」に注目してみてください。枝の流れや重なり、松がどこに置かれているか、苔がどのような空間をつくっているか。それぞれの植物が景観の構成のなかで、どのような役割を担っているのか。そうした点に気づくと、庭園の見え方は、また大きく変わります。

日本庭園は、植物とともに生き、育ち続ける風景です。 季節に沿って変化する庭木をはじめ、さまざまな植物の姿に目を向けながら歩いてみると、庭は決して一度きりの景色ではないことに気づくはずです。同じ庭でも、季節や時間が変われば、また違った表情に出会える。その変化を味わいながら庭を歩くことも、日本庭園の大きな楽しみのひとつとなるでしょう。
Credit 文&写真(クレジット記載以外) / 遠藤浩子 - フランス在住/庭園文化研究家 -
えんどう・ひろこ/東京出身。慶應義塾大学卒業後、エコール・デュ・ルーヴルで美術史を学ぶ。長年の美術展プロデュース業の後、庭園の世界に魅せられてヴェルサイユ国立高等造園学校及びパリ第一大学歴史文化財庭園修士コースを修了。美と歴史、そして自然豊かなビオ大国フランスから、ガーデン案内&ガーデニング事情をお届けします。田舎で計画中のナチュラリスティック・ガーデン便りもそのうちに。
