
「私は詐欺にあったのでしょうか?」と嘆く相談者。昭和46年築の中古マンションを巡り、融資が通る根拠がないまま契約を強行された結果、買主は「ローン不可・解約不能」という絶望的な状況に追い込まれました。本記事では、松田博行氏の著書『不動産・相続・終活のホントのところ府中の不動産会社の社長が教える後悔しないアドバイス』(叢文社)から一部を抜粋・編集し、無責任な業者が招くトラブルの実態と、不動産売買で後悔しないための防衛策を解説します。
違和感しかない不動産売買契約締結
詐欺でしょうか? という相談で、昨日、電話が鳴りました。
それ大丈夫ですか? という内容でした。
電話口の相談者はこう言いました。「私は詐欺にあったのでしょうか?」
私は、詐欺というよりは、やばい不動産売買契約締結だと思いました。こんなおかしい不動産仲介会社に不動産購入の仲介を依頼することになったこと自体、とっても不幸なことだと思います。
昭和46年築の中古マンションの売買契約を締結しており、
・既に、手付金の解除期限は経過しているので、手付解除ができません。
・融資特約の解除期限も経過しているので、融資特約による解除ができません。
・にもかかわらず、住宅ローンの審査もやっていません。
このサポートをしている不動産仲介業者はどうなっているの? つまり、解除するのであれば、ペナルティーを支払っての違約解除しかないことになります。しかし、そもそも契約締結をした際に、問題がありました。
・販売図面には、耐震基準適合証明書の取得ができる旨の記載があった。
・にもかかわらず、仲介業者が、耐震基準適合証明書の知識(取得手続、取得要件等の知識)が全然ない。
・不動産仲介会社は、自分で調べる事無く、売主の「うちなら、独自のやり方で耐震基準適合証明書を取得できるという説明」を信じて疑問にも思わず、ローン特約の期日が過ぎているのに、ローンのサポートをしていなかった。
・買主は、フラット35以外の住宅ローンが利用できない前提だった。
・耐震基準適合証明書がないとフラット35は利用できない。
・この当時の耐震基準適合証明書取得要件は、昭和56年6月以前の旧耐震基準の物件の場合、建物の補強工事がなされていることが条件(この年代の物件は、ほぼ補強工事がなされていないから、ほぼ無理)。
・売主の発言がおかしい。「通常は耐震基準適合証明書は取れないのですが、売主(不動産業者)が依頼すれば、特別に耐震基準適合証明書が取得できるので、買主は“自分で耐震基準適合証明書を取得しないように”」と言われていた。
どうです? おかしい事ばかりです。
不動産仲介業者の呆れる対応
この不動産仲介業者は、お客様が、仲介手数料という高額な手数料を支払う意味を理解しているのだろうか。
私に言わせると、この売主宅建業者もおかしいかもしれないけど、お客様をサポートする立場である「不動産仲介業者」がダメすぎて、呆れを通り越しております。よくぞ、不動産の免許が取れたなと思えるくらいの次元です。
そもそも、フラット35が組める物件とは思えないし、ローン利用できるという根拠も確認していないのに、不動産売買契約書には、住宅ローンを「フラット35」に指定しているわけです。
そもそも、それ自体が無理なのだから、不動産売買契約の締結をするべきではないはずです。だって、100%契約の履行ができないことが明白なのだから。
売主もおかしい。「うちであれば、特別に耐震基準適合証明書が取得できる」なんて発言、ありえないでしょ?
つまり、虚偽の証明書を発行してもらうということになります。そんな虚偽の証明書を発行したら、発行した人も罰を受けます。
何考えてんだろう? そこまで、頭が働かないのかな?
自分の物件が売れて自分さえ儲かれば、他の人が罰則になろうと問題ないと考えているのでしょうか?
で、今さらいい子ぶる担当者
もう、違約解除しかない段階になって、(不動産仲介業者の)担当者が言ったそうです。仲介業者曰く……「この契約は何かおかしい。こうなったら、内容証明郵便を売主に送って契約解除をしてもらいましょう」
不動産仲介業者が不動産売買契約の仲介人として、責任ある立場で立ち会っていて、今さらになって、売主の発言がおかしいと思えてきました。不安ですって……どうかしているのです。
今さら、なに買主様の味方ぶっているのか、と思えて仕方がありません。そもそも、不動産仲介業者として取るべき態度は「この物件は、住宅ローンが組めませんから契約は出来ませんよ」と説明をすることですよね?
私だったら、契約締結なんて絶対にしてもらいません。買主様の利益には絶対にならないんだから。損失以外のなにものでもありません……。
とんでもない不動産仲介会社に仲介を依頼すると「自爆」します!
ほんと、ありえないけど、まだこんな業者がいるんですよね。不動産購入も売却も、お客様にとっては人生かけての大一番なのだから、そこにかかわる人間とすれば、絶対に無責任な事をするべきではありません。
今回のご相談は、100%、売主宅建業者と不動産仲介業者が悪いと思います。ダメな不動産業者に騙されちゃダメですよ。
松田 博行
代表取締役社長
株式会社わいわいアットホーム
