
『ハリー・ポッター』に登場する最強の杖、「ニワトコの杖」。その素材である「エルダー(セイヨウニワトコ)」が、じつは私たちの世界にも実在し、古くから「魔女の薬草」や「田舎の薬箱」として愛されてきたことをご存じでしょうか。マスカットのような香りの花や、万能薬ともいわれる実の効能、そして知っておきたい「毒」の話まで。魔法の木・エルダーにまつわる不思議な伝説と、園芸品種や家庭での育て方を栽培のプロが解説します。
エルダーの基本情報

植物名:エルダー
学名:Sambucus nigra
英名:Elder、Elderflower、Elderberry
和名:セイヨウニワトコ
その他の名前:エルダーフラワー、サンブカス、Pipe tree、セイヨウセッコツボク(西洋接骨木)
科名:レンブクソウ科
属名 ニワトコ属
原産地:ヨーロッパ、西アジア、
形態:低木
ヨーロッパや西アジアなどの広い地域が原産の、落葉性低木です。美しい白い花やブルーベリーにも似た黒い実は食用や飲料、ソースなどさまざまに利用でき、花や実、葉と根まで薬用になります。万病に効果のある優れた薬用植物として、古くはエジプト文明時代やローマ時代から利用されてきました。ヨーロッパでは“田舎の薬箱”と言われ、生活に欠かせないハーブとして使われます。
昔から親しまれてきたエルダーには、さまざまな伝承があります。魔法の杖の木や精霊が棲む木、魔女の薬草、悪魔の木などと言われ、魔除けにも使われてきました。ちなみにハリーポッターの魔法の杖もニワトコから作られたそうです。
黄金葉や黒葉などの園芸品種がありますが、サンブカスの属名で流通することがあります。
風に揺れる満開のエルダーフラワーの花房。anmbph/Shutterstock.com
エルダーの特徴・性質

園芸分類:庭木・庭木、ハーブ
開花時期:5〜6月
樹高:3~8m
耐寒性:強い
耐暑性:やや弱い
花色:白
木の材質は堅いですが、若い枝は芯が抜きやすく、パイプツリーの別名があります。葉は羽状複葉で、枝の先端に花を咲かせます。生育が早いですが、樹齢は比較的短命です。自生地などでは樹高10m近くになりますが、園芸品種はそこまで大きく成長しません。剪定には強いので、定期的に切り戻す剪定をすることによって、扱いやすい高さに保つようにします。
病害虫に強く、環境が合えば放置気味で育つことが多いです。ただし乾燥が激しい場所は弱りやすく、水はけの悪い土壌では根腐れをおこしやすいです。また、風通しの悪い場所や、枝葉が茂りすぎると、夏に高温多湿で蒸れて弱ることがあります。
