執筆:日本財団ジャーナル編集部
認定NPO法人は、政府から組織の運営や事業活動において公益性が高いと認められたNPO法人のこと。さまざまな税制上の優遇措置が受けられるが、認定されるためには高い公益認定基準を満たさなければならない。
この記事では、認定NPO法人と他のNPO法人との違いや、そのメリット、認定されるための基準、申請に必要な書類などについて解説する。
1.認定NPO法人(認定特定非営利活動法人)とは?
NPO法人の活動を支援するために、個人や企業などによるNPO法人への寄付を促すことを目的とした制度で、寄付する側・される側共に税制上の優遇措置が設けられている。そのことにより、組織の運営や事業活動がより安定して継続的に進めやすくなるというものだ。
認定NPO法人になるためには、次の要件を満たし所轄庁の認定を受ける必要がある。
- 市民や企業など広く一般から支持を受けている
- 組織の運営や事業活動が適切に行われている
- 法人に関する情報がきちんと公開されている
- パブリック・サポート・テスト(PST※)を含む一定の基準をクリアしている
- ※ NPO法人が市民から広く支援を受けているかどうかを判断するための基準。詳しくは後述の「認定NPO法人として承認される条件」を参照

1-1.NPO法人(特定非営利活動法人)との違い
NPO法人は、さまざまな社会貢献活動に取り組むNPOのこと。認定NPO法人は、NPO法人の区分に含まれる。いずれも財産や金銭的な利益を得る(=営利)ことを目的とせず、社会や公共のための利益(=公益)に貢献する活動に取り組む点で変わりはない。
一方で、認定NPO法人として認定されると、寄付に関する税制上の優遇措置が受けられる。
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1-2.特例認定NPO法人との違い
特例認定NPO法人は、設立後5年以内のNPO法人を対象に、スタートアップ時に寄付を集めやすくするために設けられた制度。NPO法人として健全な経営基盤を持ち、公益の増進に貢献することが見込まれる団体だけに認められる。
認定を受けるためには、認定NPO法人の基準のうちパブリック・サポート・テスト以外の基準をクリアする必要がある。特例認定NPO法人と認定NPO法人には、次の違いがある。
- 認定NPO法人よりも、受けられる税制優遇措置の範囲が狭い
- 有効期間が3年に設定されており、認定NPO法人(5年)よりも短い
- 一度のみの申請となり、更新することはできない
1-3.条例指定NPO法人との違い
条例指定NPO法人は、都道府県と市区町村が条例により指定したNPO法人のことで、その団体に寄付をした個人の住民税に対し税額控除が適用される制度。NPO法人に寄付が集まりやすくすることで、地域における公益活動の活性化と地域課題の解決を目的としている。
認定NPO法人との違いは、認定基準のほかに、認定NPO法人にはさまざまな税制優遇措置があるのに対し、条例指定NPO法人は寄付金に対する個人住民税の控除にとどまる点だ。
2. 認定NPO法人の割合は?
「内閣府NPOホームページ」(外部リンク)によると、2025年8月末時点でのNPO法人数は、全国で4万9,259団体だ。そのうち認定NPO法人数は1,297団体のみで、わずか2パーセント台にとどまっている。
認定NPO法人になるにはいくつもの要件を満たす必要があり、認定ハードルの高さがうかがえる。
また所轄庁別(外部リンク)で見ると、認定NPO法人の数は、東京都が最多の298団体、次いで横浜市73団体、大阪市49団体、神奈川県49団体、京都市35団体、埼玉県33団体と、都市部に集中している傾向にある。