執筆:日本財団ジャーナル編集部
「NPO」という言葉を知っていても、具体的にどんな活動をしているのか、知らない人も少なくないだろう。
NPO法人の活動は、「特定非営利活動法人制度」(外部リンク)という法律によって社会貢献を目的とした20種類に限られている。社会課題のテーマ(分野)や、対象となる地域、支援するヒト・モノ・コトに応じて、さまざまな団体が多岐にわたる活動に取り組んでいる。
この記事では、NPO法人の主な活動内容やその具体例について解説。NPO法人を立ち上げる際の参考となる他団体の活動内容の調べ方や、設立に関する相談先も紹介したい。
1.NPO法人の主な活動内容
「NPO」は「Non-Profit Organization」(非営利組織)の略称で、社会課題を解決するために活動している民間の組織・団体のこと。活動内容に縛りはなく、幅広い分野で活動が可能だ。
一方、法人格を取得した「NPO法人」の場合は、次の20分野に限定される。

各分野について具体的な定義はなく、社会的常識に従って都道府県や政令指定都市が判断する。
また、NPO法人の活動分野は1つに絞らなければいけないわけではなく、多くの団体が複数の分野にわたって事業を展開している。
1-1.NPO法人の活動内容で多い分野
内閣府NPOホームページ(外部リンク)による、NPO法人が多い活動分野と団体数(2025年3月31時点)は、次のとおりだ。

特に多いのが「保険・医療・福祉」や「社会教育」「子どもの健全育成」の分野。また、1つの分野のみ取り組むNPO法人は4,791団体と、全体の1割に満たない。
2.NPO法人における活動事例
ここからは、具体的な活動事例を、国内のNPO法人、認定NPO法人(※)、海外で活動するNPO法人に分けて紹介する。
- ※ 認定NPO法人は、NPO法人の中でも厳しい条件をクリアし所轄庁より認定を受けた法人で、さまざまな税制優遇措置が適用される
関連記事:認定NPO法人とは? NPO法人との違いや申請するメリットを解説(別タブで開く)
特定非営利活動法人I-DO(アイディオ)(外部リンク)
「誰もが安心・安全に移動できるまちづくり」を目的に、自転車を中心とした移動環境の向上に取り組んでいる。
例えば、正しい交通ルールや自転車の乗り方を親子で学べる公園や、駐輪場の運営管理。レンタサイクルの貸出事業や、地元の大学生と取り組む放置自転車の啓発活動などを展開。自転車利用を促進するサービスを提供することで、CO2削減や渋滞緩和といった交通課題の解決を目指している。
NPO法人ICDS(外部リンク)
キャリアコンサルタントのプロ集団として、「未来を担う若者がイキイキとした姿で生きて行くためのキャリア形成の支援」をミッションに掲げ、さまざまな活動に取り組んでいる。
キャリアコンサルタントのスキル・知識の向上を支援する事業や、若者を対象としたキャリア教育プログラムの開発・実施、生活困窮状態にある人の就労支援などを実施。自治体からの委託を受け、岐阜県全域、名古屋市全域、岡崎市、知多半島全域において個別相談、ワークショップ、就労体験等の無料提供も行なっている。
特定非営利活動法人ジャパンハート(外部リンク)
「医療の届かないところに医療を届ける」をミッションに掲げ、アジアの発展途上国や国内の離島・へき地、大規模災害にあった被災地などを対象に、医療支援に取り組んでいる。
海外では医療を受けられない子どもたちに無償で診療や手術を実施し、その数は年間約3万4,000件、累計30万件を超えている。また、国内では小児がんと闘う子どもたちをサポートしている。
認定NPO法人カタリバ(外部リンク)
カタリバは、子どもたちがどんな環境に生まれ育っても、未来をつくりだす意欲や創造力が育めるよう、「キッカケ格差」を解消する支援に取り組んでいる。
高校への出張授業、被災地における教育支援、家庭に困難を抱えた子どもたちが安心できる居場所づくり、地方に住む若者の世界を広げる教育支援といった、多様な出会いと学びの場をつくり続けている。
認定NPO法人自然環境復元協会(外部リンク)
多様な生き物と共に暮らす社会を目指して、「環境人材の育成」と「都市の自然環境の保全」「農山漁村の活性化」に取り組んでいる。
主な活動として、環境保全団体とボランティアを希望者をマッチングし、自然を守る人材を未来へつなぐプロジェクトや、都市と農山漁村の結びつけることで地域と生態系を豊かにするスタディツアーを実施。また「環境再生医」の資格認定講習も行っており、2023年度には97名が受講した。
