5. NPO法人の人材不足対策としての職員定着のための対策
人材不足の解消と併せて考えておきたいのが、スタッフ定着のための施策だ。もし人材を確保できても、スタッフの定着率が悪いと根本的な解決には至らない。
ここでは、スタッフの定着率を高めるためにできる対策を3つに分けて紹介する。
5-1.公平で透明性の高い評価制度の構築
一般的な会社と同様、NPO法人においても、スタッフの貢献を適切に評価し、その成果を公正に報酬に反映させる制度が重要だ。評価制度を構築する際は、基準を明確化し、スタッフとの定期的な面談の機会を設けると良いだろう。
面談は、目標設定の確認やフィードバックだけでなく、コミュニケーションの強化にもつなげられる。
また、昇給や昇進の基準を透明化することで、職員は将来への展望が明確になり、モチベーション向上となる。インターンスタッフ用の評価制度もあると、長期的な定着にも役立つはずだ。
5-2.スキルアップ支援・キャリアパスの提示
研修制度や外部セミナーへの参加支援、資格取得支援など、スキルアップのための機会を提供し、スタッフの成長意欲に応えよう。志高く組織へ参加してくれたスタッフの意欲を活かし、組織の活性化につなげる意識が重要となる。
また、NPO法人内でのキャリアパスを明確に示すことで、スタッフが自身の将来像を描き、組織への長期的な貢献意欲を高めることも期待できるだろう。
5-3.ワークライフバランスの改善
職員が仕事とプライベートを両立できるよう、柔軟な働き方を導入することも重要だ。例えば、フレックスタイム制・リモートワーク・時短勤務など、個々の状況に応じた働き方を支援することで、職員の満足度を高め、離職防止にもつなげられる。
まとめ
NPO法人の人材不足には、マネジメント層の不足、財政基盤の課題、スタッフの高齢化、社会的信用度・認知度の低さなど、複数の原因が影響していることが多い。
ボランティアやインターンの受け入れ、中間支援組織の活用、同分野のNPO法人・NPOとの協力などを積極的に実行し、人材不足を解消しつつ、そのほかの問題にも着手していくことが重要だ。
また、スタッフの定着率を高める施策も考えることも大切。既存スタッフや新たに参加した優秀なスタッフを逃さないよう、より良い組織づくりを目指そう。
参考文献:
内閣府NPOホームページ「2023年度(令和5年度)特定非営利活動法人に関する実態調査 報告書」(外部リンク/PDF)
内閣NPOホームページ「新しい公共支援事業の実施に関するガイドライン 」(外部リンク/PDF)
内閣府世論調査「NPO法人に関する世論調査(平成30年10月調査)」(外部リンク)
