5. NPO法人を設立する3つのデメリット
法人化には乗り越えるべきハードルもあり、場合によっては対策が必要となる。しかし、負うべき義務生じることで社会的信用度が高くなるとも言える。
5-1. 行政審査が厳しい
NPOを法人化するためには、所轄庁の厳しい審査をクリアしなければならない。審査要素には「社員が10人以上所属しているか」「事業内容が特定非営利活動に含まれるか」「定款(組織のルール)や申請書が法令の規定を満たしているか」などがある。
なお、申請書や定款に不備がないかを提出前に確認してくれる自治体も。ホームページなどから確認し、利用できる場合は積極的に活用しよう。
5-2. 情報公開義務がある
NPO法人は事業年度が終了してから3カ月以内に、前事業年度の事業報告書、計算書類、役員名簿などを作成する義務がある。
作成書類は全ての事務所に備え置き、社員および利害関係者に閲覧させなければならない。さらに、年に1回行政機関に提出する必要がある。
書類は提出後に内閣府NPOホームページで公開され、一般市民も閲覧できるようになっている。
5-3. 設立に4カ月ほどかかる
NPO法人設立には約4カ月の時間がかかる。申請書の一般公表に2週間、行政による審査に最大2カ月、認証後の登録(登記)までに最大2週間を要する。
書類作成の時間も考慮し、余裕のあるスケジュールを組もう。
6. NPO法人設立の3ステップ
NPO法人設立のプロセスは、大きく3つに分けられる。不備があると再申請しなければならない場合があるため、しっかりと把握しよう。
なお、プロセスの一部が異なる自治体もある。申請する際は、各自治体のNPO法人を担当する行政機関のホームページを事前に確認しよう。
6-1. ステップ1:書類を所轄庁に提出する
次の10点の書類を添付し、申請書を所轄庁へ提出する。本拠地とする事務所がある都道府県知事に提出するのが基本だが、そうでない地域もあるため、事前に確認しよう。
また、提出前には社員全員を集め、内容を確認するのが一般的だ。
- 定款
- 役員名簿(役員の氏名及び住所又は居所並びに各役員についての報酬の有無を記載した名簿)
- 役員の就任承諾書及び誓約書の謄本
- 役員の住所又は居所を証する書面
- 社員のうち 10 人以上の氏名及び住所又は居所を示した書面
- 認証要件に適合することを確認したことを示す書面
- 設立趣旨書
- 設立についての意思の決定を証する議事録の謄本
- 設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書
- 設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書
申請書の一部は、受理された日から2週間一般公開される。行政機関だけでなく、市民からも検証されることになる。