うなぎの寝床のように狭く細長い形状の物件や、築年数が非常に古い物件に住む若者たちは、いつの時代もメディアで取り上げられてきたが、近頃は“狭小物件”などを紹介する内見動画がSNSでも人気コンテンツである。物価高に直面する首都圏での生活環境の変化や経済事情を背景に、ひと昔前よりもかなり現実的な選択肢となっているようだ。
しかし、リアルな住み心地などは当事者にしかわからないことも多い。“そこに住む理由”には、人生観までも映し出されるはず。

◆実家は120平米、就職・結婚を経て新宿区でコンパクトな暮らしに
——ZUNDAさんは仙台出身とのことですが、上京したのはいつ頃ですか?
ZUNDA:大学を卒業して就職したタイミングですね。1982年生まれで地元・仙台の高校から、北海道の大学に進学し、就職は北海道か仙台かで考えていたんですが、就職氷河期世代で働き口がなく、東京のIT会社に内定をいただき、2005年から今日まで同じ会社で働いています。SEとして入社し、現在はマネージャー的な役職です。
——現在、親子3人家族で狭小の中古マンションに住んでいるそうですが、これまでの居住歴を簡単にご紹介お願いします。
ZUNDA:実家がわりと田舎で約120平米の一軒家に18歳まで住んでいたんですが、大学時代にアパートで一人暮らしを経験し、東京に引っ越してからは社員寮でした。2009年の結婚を機にそこを引き払い、江戸川橋の2LDK /40平米弱の狭小マンションを借り、10年以上住んでいました。
——けっこう長く住んでいたんですね。どこへ行くにも便利そうな立地ですが、当時は手狭に感じることはあまりなかったんですか?
ZUNDA:築古の賃貸マンションで、畳の和室があったり、冬は寒かったり、細かいつくりは古くてあまり良くなかったんですが、家賃11万円かつ駅から徒歩10分だったので。やっぱり引っ越したときから、ずっと「狭いな」と思っていました。
——愚問でしたね。
ZUNDA:収納スペースが足りず、クローゼットを買って寝室に設置したら、ベッドを2つ置くスペースが足りなくなってしまいました。マンションのエレベーターも小さく、セミダブル以上のベッドの搬入もできなかったので、二段ベッドで寝起きしていました。
◆40平米でも「工夫すればやっていける」
——新婚早々、夫婦で二段ベッドの上下に分かれて寝ていたんですか(笑)。お子さんが生まれたのはいつ頃でしょうか?
ZUNDA:2017年ですね。分譲マンションの購入を検討し始めたのは2019年頃で、コロナ禍で物件探しを中断した時期もありつつ、練馬区の中古マンションを2021年秋に購入しました。
——お子さんの成長に伴い、さらに手狭に感じるようになったと。
ZUNDA:それもありますが、最大の理由は月5万円の会社の家賃補助が年齢制限の関係で打ち切られそうだったからです。比較的順調に私の年収は上がっていたものの、妻が出産のタイミングで退職し、世帯年収も落ち込む中で家賃補助5万円がなくなるのは、けっこう痛いと感じ、いっそ中古マンションでも探して買おうかなと。
——なるほど。そもそも今も狭小マンションに住んでいるんでしたね(笑)。
ZUNDA:今の練馬区のマンションは40平米強なので少しだけ広くなっているんですが、当時から40平米前後のマンションでも工夫すれば全然やっていけるとは思っていました。江戸川橋の賃貸マンションが立地的に便利で気に入っていたので、最初は近所で探し始めたんですが、想像以上に高くて……。
——予算はどれくらいだったんでしょうか?
ZUNDA:勉強不足で、最初は2500万円で考えていましたが、不動産屋さんに鼻で笑われましたね。いま思えば「そりゃ、そうですよね」って感じですけど。新宿区なんか全く無理でした。

