「ひとりで相続すれば得」の誤算…母と兄を相次いで亡くした60代男性、遺産6,300万円で直面した「数次相続」の落とし穴【相続の専門家が解説】

「ひとりで相続すれば得」の誤算…母と兄を相次いで亡くした60代男性、遺産6,300万円で直面した「数次相続」の落とし穴【相続の専門家が解説】

「相続人は自分ひとりだから、税金は安くなりますよね?」母と兄を相次いで亡くした鈴木俊道さん(仮名・60代)は、そう考えて相談に訪れました。しかし相続は“亡くなった瞬間”に発生し、兄の相続分を飛ばすことはできません。登記は1回でも、税務上は相続が2回起きる「数次相続」となります。なぜ節税のつもりが、かえって税負担を重くしてしまうのか。相続実務士・曽根惠子氏(株式会社夢相続 代表取締役)が実例で解説します。

母親と兄が相次いで亡くなった

以前、奥さんの父親の相続のコーディネートをさせていただいた鈴木俊道さん(60代・仮名)が相談にこられました。

母親が亡くなり、相続人は兄と鈴木さんの2人。しかし、遺産分割協議書を作る前に、独身の兄も亡くなったとのとのこと。

母親の財産は約6,300万円。兄には配偶者も子もおらず、兄の相続人は弟である鈴木さんです。

「相続人は自分だけなので、ひとりで相続すれば、相続税は安くなりますよね?」

これは、実際の相続相談の現場で本当によく出てくる質問です。そして同時に、もっとも危険な発想でもあります。

一見すると、「じゃあ、最初から母親の財産を弟が全部相続したことにすればいいのでは?」

そう考えてしまいがちです。しかし、ここに大きな落とし穴があります。

相続は“亡くなった瞬間”に発生する

結論から言いますと、「弟ひとりで母親の財産を相続した」という申告はできません。

理由はシンプルです。相続は“亡くなった瞬間”に発生するからです。

母親が亡くなった瞬間、相続人は「兄と弟の2人」。その後、兄が亡くなったとしても、母親の相続関係があとから変わることはありません。

これを実務では「数次相続(すうじそうぞく)」と呼びます。

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