素敵に年齢を重ねながら、パリで前向きに暮らす女性たち。ひとり暮らしになった理由はさまざまですが、大きな浮き沈みを糧に、強く自分らしく、ますます魅力を増していく――。そんな4名に全3回で話を伺い、幸せの秘訣に迫りました。
ブリジット・Kさん(元テレビジャーナリスト)
初夏には、バラが咲き乱れ、旅行者たちも足を止めて、写真を撮るスポットになっているそう
政治を取り扱うテレビ番組のジャーナリストとして長年にわたり活躍したのち、早期退職。その後は亡命国からの移民向けフランス語教室のボランティア活動に携わってきた。70歳(2024年取材当時)
「ひとり」は怖かったけど、腹をくくればなんとかなるわ
「前日、友人宅で遅くまでワインを楽しんでいたから寝不足なの。疲れた顔でごめんなさいね」と笑いながら出迎えてくれたブリジットさん。パリ15区の住宅街から、眺望が素晴らしいモンマルトルの丘に越してきたのは数年前のことです。
「2年ほどずっと、ひとりで心地よく暮らすための物件を探していたのだけど、ピンとくるものに出合えず。友人の看病で何度もモンマルトルに足を運ぶうちに、この辺りに住むのもいいかもしれないと思えて、探し始めたの。
昔はツーリストが多いことをネガティブに捉えていたけど、みんなのうれしそうな顔を見るのは幸せだな、と考えが変わっていったわ」

そして見つけたのがこの物件。パリのアパルトマンとしては貴重な小さな庭付きの物件です。梁は腐って天井は斜めに傾き、どこもかしこもボロボロの状態でしたが「窓からの眺めにひと目ぼれ。小さな庭やテラスがあるのも決め手だったわ」と言います。ちょうどコロナ禍にかかり、工事には2年の年月を要しましたが、その分完成したときの喜びはひとしおだったとか。
上の写真(右)は物件購入の決め手となった、リビングや寝室からの美しい眺め。パリが一望できます。写真左は、来客用の部屋から見える、パリ最古の教会の一つであるサンピエール教会の敷地の一部。
「ミニマリストに憧れたけど、家族や友人との思い出の品を少しずつ置いているうちに、物が増えてしまったの」と笑います。
「夫とは同じ空間にいてもお互いに無関心になり、約7年前に別れたの。経済的に自立していても、ひとりで生きていくのは怖くて決心するまでに時間がかかったわ。でも腹をくくればなんとかなるもの。まさか電気ドリルを買って、使う自分なんて想像もしていなかったもの(笑)」

