◆結局のところタイの不動産投資はしないほうがいい?

また、外国人購入の約54%が300万バーツ以下(約1500万円以下)の物件に集中し、31〜60平米の1〜2ベッドルームが主流で売れているようだ。おそらくバンコク郊外の物件で、賃貸というよりは自身が住むためのものと考えられる。賃貸としても、むしろ郊外や新興エリアなら利回り6〜7%に達するケースもあるそうだ。
このトレンドはタイ政府の各種緩和措置も関係していると見られる。700万バーツ以下の物件を対象に住宅取得関連手数料の利率が大幅に下げられ、2025年4月~26年6月末までの措置として、所有権移転手数料は2%から0.01%に、抵当権設定手数料を1%から0.01%となった。これにより最大で20万バーツ超(約100万円超)のコスト削減ができるので、投資家には大きな利益につながる。
いずれにしても、不動産投資は西尾氏のいうように「安く買うことが重要」になる。といっても、これが一番難しい。
「日本にいては海外不動産の相場や適正価格の判断がつかないでしょう。そして、いくらあってどうしたいか、その不動産を将来的にどうしたいか、5年後なのか10年後に売りたいのか、もしくはずっと保有するのか。それを購入前に考える必要があります」
と西尾氏はいう。これまで多く犠牲を払い、失敗もしてここまで来た人物だ。
「ビジネスですから売らなきゃいけないのはあります。でも、目のまえにいるお客さんに無理に買わせて5年後、10年後に恨まれるほうが嫌です。買うまでより、買ったあとのつきあいのほうがずっと長いですからね」
自分と同じ失敗をさせたくないというのが西尾氏のポリシーのひとつだ。目のまえの物件に勢いで飛びついてほしくないので、多くの投資家には甘いことだけを話したりしない。
当然、不動産投資は必ず「儲かる」わけではない。適当に買っても普通に損をする。バンコク不動産に限らず、もしも外国の不動産投資に挑むのなら、スタート時点で日本での投資以上にしっかりと“出口”を考えること。それが最低条件なのだ。
<取材・文・撮影/髙田胤臣>
【髙田胤臣】
髙田胤臣(たかだたねおみ)。タイ在住ライター。初訪タイ98年、移住2002年9月~。著書に彩図社「裏の歩き方」シリーズ、晶文社「亜細亜熱帯怪談」「タイ飯、沼」、光文社新書「だからタイはおもしろい」などのほか、電子書籍をAmazon kindleより自己出版。YouTube「バンコク・シーンsince1998│髙田胤臣」でも動画を公開中

