
資産寿命を延ばすには、資産を分散し「お金に働いてもらう」必要があります。しかし、ただ資産運用すればいいものではありません。たとえ運用で儲けても、その先を見据えていない場合、資産運用が失敗に終わってしまう可能性も……。野尻哲史氏の著書『100歳まで残す 資産「使い切り」実践法』(日本経済新聞出版)より、70代夫婦と70代シングル女性の2つの事例をとおして、老後の資産運用の明暗を分けるポイントをみていきましょう。
高齢層の資産の実像
高齢層の資産の実像をご紹介します。株式会社マネーライフプランニングのお客様の事例です。
事例1:施設入居も想定…年金153万円・70代夫婦の現金の移し先
70代の夫婦で、金融資産2000万円と不動産1800万円強で総資産は3800万円に達しています。ただ不動産は奥様のお姉さまとの共同名義になっていることから、現金化は簡単ではありません。そのため、金融資産だけを対象にアドバイスを行います。
80代前半までの勤労収入として年間96万円程度見込めるうえ、公的年金も夫婦2人で153万円受け取っています。そのため80代前半までの年間収入は250万円程度となります。これに対して、支出を推計し、年間収支を計算すると70万〜80万円の黒字を確保できるとみています。
そのため現状で資産の取り崩しの必要はないとの判断です。10年程度引き出す可能性が低いことから、扱いの難しい共同名義の不動産以外の資産の配分を見直します。
運用資産は海外物を中心にして、外国株式(51%)、外国債券(20%)の比重を高めています。その一方で、現預金は29%と3割ほどに抑えています。
[図表1]70代夫婦の相談当初/相談後のポートフォリオ 出所:株式会社マネーライフプランニング
85歳から有料老人ホーム入居を想定(入居一時金521万円、年間入居費246万円)すると、年金収入(153万円)との差額にその他の生活費用も考え、年間170万〜180万円の取り崩しが必要になると推計しました。
ただ、それまでの10年程度は取り崩しが必要ないため、全資産平均収益率3%で運用できれば、85歳の時点で資産は34%強増えています。その後も、平均運用収益率を3%と想定すると、年間170万〜180万円を引き出していっても100歳まで資産寿命を延ばすことができる計算となります。
