◆【事例②】曖昧な指示でズレまくり……会議が大混乱
社員Cさん(ASD傾向)は、上司から「急ぎでこの資料を夕方の会議用にまとめておいて」と口頭で指示された。さらに「役員も参加するから、とにかく丁寧に」と付け加えられた。
しかし、指示の範囲や形式が曖昧で、Cさんは自分なりの解釈で作業を進めてしまった。会議で必要だったのは数字の比較表だったが、Cさんが作ったのは文章中心の長文。
会議はスムーズに進まず、参加者一同はイライラが募った。
「CさんのようなASD傾向のある方は、曖昧な指示を自分なりに解釈してしまう特性があります。
『これ』『あれ』『適当に』『丁寧に』といった抽象的な言葉が理解しづらく、自分なりの正解で動いてしまうのです。
こうしたズレは、指示の意図を確認する習慣や、箇条書きで明確に伝えるルールを作ることで、大幅に減らせます」
この事件以降、指示は箇条書きで明確に、期限・形式・目的をメールに残すルールに変更。Cさん自身も「作業前に『このような解釈で合っていますか?』と聞く」習慣をつけた。
結果、指示のすれ違いが減り、チーム全体のコミュニケーションが改善したという。
◆【事例③】会議で上司を論破…場が凍りつく
社員Dさん(ASD傾向)は、会議中に(上司の上司にあたる)事業部長の説明に対して、こう指摘した。「そのデータは根拠として弱いです」「論理的に矛盾しています」
内容自体は正しい。しかし、事業部長は面子を潰されたと感じ、周囲は凍りついた。
「DさんはASD傾向で、論理的に正確であることを重視する特性があります。
場の空気や相手の感情を読むのが苦手で、本人の意図とは関係なく周囲が驚く行動につながることがあります」
対応策としては、事前に資料を共有する、会議で指摘する際は場を選ぶよう指導するなど、環境やルールを工夫することが重要だ。
「Dさんの分析力は会議外で活かすこともできます。発言のタイミングや場所を工夫すれば、本人もチームもストレスを減らしつつ能力を活かせます」


