アーカイブから生まれた、現代の翼
パリ・ヴァンドーム広場12番地にあるショーメのアーカイブルームには、1780年の創業以来245年以上の歴史を物語る膨大な資料が収められている。当時のスケッチやデザインをひも解くと、一貫して自然をジュエリーデザインに落とし込んできたショーメにとって、翼もまた重要なモチーフの一つであり続けてきたことがわかる。「アンヴォル」は、そうした翼をモチーフにしたアーカイブ作品をもとに、現代的に再構築したコレクションだ。
今回登場したティアラは、ホイットニー美術館の創設を支援したアメリカの女性コレクター、ガートルード・ペイン・ホイットニー(旧姓ヴァンダービルト)が1910年に購入したティアラを着想源としている。ショーメのアイコニックな「エグレット」を思わせる控えめなV形のラインが、軽やかでコンテンポラリーな魅力を際立たせている。

グランフー エナメルが描く、深いブルー
今回のコレクションで取り入れられたのが、高温で何度も焼くことでガラス質を金属の表面に定着させる、グランフー エナメル技法だ。腕時計の文字盤などに用いられるこの繊細な技法は、透明感と深みのある色彩表現と高い耐久性を実現する一方、加熱中にひび割れや色の変化が起きやすく、極めて高度な職人技が求められる。深みと輝きを備えたグラデーションの色彩が、今回登場した9つすべての作品を彩っている。
10.96カラットのマダガスカル産サファイアを配したネックレスは、制作に650時間以上を要したという。紺碧(こんぺき)のサファイアとグランフー エナメルが織りなすブルーの豊かな色彩が響き合う。翼のモチーフは取り外してブローチとして着用することも可能だ。


