かつて麻布霞町という情緒的な地名で呼ばれた西麻布。六本木、広尾、乃木坂のどの駅からもほぼ同距離という立地は、ひと味違う体験を好む大人の格好の遊び場に。
続々と誕生する新星も、この街の勢いを助長している。
入り口手前の席と奥のカウンターで店が異なるというユニークなスタイル。定休日は『すし高橋宏輔』として営業。自由度の高い店づくりに遊び心を感じる
日本のレストラン業界をつねに賑わせる長谷川稔グループということを差し引いても、じつに興味がそそられる店である。
古代ギリシャ語で「両方」を意味する『amphis』のオープンキッチンに立つふたりのシェフは、まるで磁石のS極とN極のようだ。
人気ビストロで腕を振るった高橋一男さんとホテルのフランス料理店で経験を積んだ中島慎弥さん。口をそろえて「性格もまるで正反対」というが、皿の上ではその個性が自然と重なり、サプライズに満ちた料理が食べ手の心を強く惹きつける。
ジャンルに区分するならフランス料理がベースだが、洋食のエッセンスを盛りこみ、ネーミングや見た目に大人の遊び心を満たす仕掛けをたっぷりと。
焼き印もインパクト大な「おむらいす」。切り分けたあとデミグラスソースをたっぷりと
季節ごとのジオラマのような6種のフィンガーフードや続くメインの「和牛のパイ包み」、コースの〆の「おむらいす」など、飽食気味の胃袋をも歓喜させる逸品ぞろい。
「ブラックサンダー」。伊賀牛のヒレ肉とチョコレートテリーヌ、西京味噌のフォアグラ、エスプレッソが香るソースが一体に。料理はすべて¥30,250(サ別)のコースより
遊ぶならとことん真剣にという気概が伝わるレストランに魅了されずにいられない。
2.あの予約困難店が上陸!沸きたつ大人たちの賑わいが今宵もこぼれる
『Minariva(ミナリヴァ)』
港区の食道楽すらワクワクさせる『Megriva』の高揚を西麻布で!
宵闇に包まれた西麻布の路地をビルの上階から照らす光は、美食を愛する大人を誘う“港”の灯台のようである。
予約困難なイタリアンとして知られる中目黒『Megriva』監修の店としてオープン。「港区の、食べることが大好きなみんなのためのレストラン」というコンセプトの『Minariva』は、開店と同時に3ヶ月先まで予約が埋まるほどの人気店となった。
木を基調とした温かみのある10席のL字カウンターは、つねに争奪戦。息のぴったり合ったコンビで、西麻布の感度高き大人たちの胃袋を満たす
夜ごと静かな熱気に包まれるカウンターで手腕を発揮するのはフランス料理の経験も持つ金子太朗シェフとソムリエとしてワインの提案をする飛田悠輔さん。
『Megriva』でも人気の「オマール海老の茶碗蒸し アメリケーヌソース」¥3,600
店の立ち上げに際してともに『Megriva』での研修に臨み、オマール海老の茶碗蒸しやトリュフたっぷりのオムレツをはじめとしたスペシャリテのレシピを体得した。
「ジェノヴェーゼ カッペリーニ」¥2,800。バジルの香りととろけるウニに悶絶。
濃厚な「蘭王」という卵を使用した「オムレツ(トリュフ)」¥3,600。
トリュフの香りに包まれる。他に「うにハラペーニョ」バージョンも。
「みかんパフェ」¥2,000。価格は時季により変動
アラカルトのみのメニューを見れば、前菜からパスタ、メインまで17種前後が並び、あれこれ食べたいという欲張りな胃袋も俄然、本気モードに。
大船に乗った気持ちで食を謳歌できる港区イタリアンがここにある。
◆夜遊びエリアの代表格・西麻布の変貌ぶりを編集部が白熱談議!
麻布と名がつくエリアの中でも、夜に輝きを増す街といえばやはり西麻布。
取材やプライベートでその変遷を見つめてきた東カレ編集部の3人が、多様に進化し続ける西麻布の“いま”を体感できる店についてアツく、深く語りつくす!
副編集長・中野愛子
酒豪ぞろいの東カレ編集部の中でも、シャンパーニュ愛は人一倍。深夜の麻布エリアは学生時代から常駐してた!
デスク・船山壮太
主戦場は恵比寿界隈だが、先輩との飲みニュケーションは、西麻布率が高め。穴場のバーで目下ワインを勉強中。
デスク・嵩倉伶奈
下町のディープ酒場も西麻布の最先端のカラオケラウンジも同様に愛する二刀流。テッパン曲は「愛のしるし」。
大人の遊び場・西麻布の普遍的な“求心力”とは
時代が変わっても東京の夜遊びシーンの中心にあり続ける西麻布。なぜ、大人はこの街に強く心惹かれるのか。
編集部の3人が、西麻布の話題店を通して、その魅力を紐解いてみた。
中野:学生の頃から夜の西麻布が大好きだったけれど、その気持ちはいまも変わらないかも。
船山:この街特有のわくわく感があるんですよね。気分が高揚するムードはそのままに、お店もいまっぽく進化しています。
昨年春に誕生した『THE TOKYO』。花鳥風月をテーマにした洗練された空間
嵩倉:『THE TOKYO』のようなスケールが大きい店は、まさしく西麻布という感じ。
西麻布らしい非日常を堪能するなら『S TOKYO』へ。カクテルやワインとともにトリュフ卵かけご飯を味わうのも一興
中野:インバウンドが増えてから西麻布では海外の方もよく見かけるように。
ワインセラーが印象的な『S TOKYO』はミクソロジーカクテルもおいしいですよね。SGグループなど、有名店のカクテルが楽しめる『Bar 西麻布倉庫』もいつも賑わっているイメージ。
日本酒界のジャンヌダルクこと、千葉麻里絵さんが営む『EUREKA!』。カラフルなネオン管の文字を和訳すると“一期一会”に。ここでしか味わえない銘酒も
嵩倉:海外ゲストが多いといえば日本酒の『EUREKA!』も。英語が飛び交っていてここは日本なの?と思うくらい(笑)。
船山:僕はしっぽり小料理を楽しめる『酉卯』も好きです。
博多発の高級酒場『博多 田中田 西麻布店』。移転当時は2階をVIP用バーとして開放していた
嵩倉:あの高級酒場『田中田』系列ですね!『田中田』といえば、当初カラオケもできた2階のバーに行ってみたかったな。
中野:あらゆる科学反応が起きるのが西麻布らしさ。大人はそこに惹かれるのだと思います。
嵩倉:仕事柄、正攻法だけではなくそう来たか!というお店に出合うと嬉しくなっちゃう。西麻布の大人はちょっとやそっとじゃ満足しないから(笑)。
艶やかなカウンターがムーディーな『天ぷらとワイン しの』は接待にも重宝される
中野:概念が変わるという意味では、1種類ずつ注文できる『天ぷらとワイン しの』も画期的。私はたまにさくっと天シャンします。上質な天ぷらをアラカルトでいただけるのが嬉しい。
船山:鮨シャンならぬ天シャン、良いですね!隠れ家感もあってデートにもぴったりですよね。
嵩倉:交差点近くの『たこあわ』はひとりゼロ次会にも。ランブルスコとたこ焼きが最高!
船山:気軽に行くなら『呑み屋 ぺりどっと』も良いです。軽く一杯のつもりが気付けば長居してしまったり(笑)。西麻布って、意外とオープンマインドな街だなと感じるお店のひとつ。
中野:刺激も包容力もあるのがいまの西麻布らしさですね。
嵩倉:また特集する機会があればタイトルは「西麻布に抱かれたい!」に決まりですね(笑)。
▶このほか:デートに最適な西麻布の新店3軒。プライベート感満載の空間が、2人の距離を一気に縮める


