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代々繋ぐ一子相伝の味。 最高の大豆で作るコングクスと出合える韓国・ソウル『晋州会館 (チンジュフェグァン)』へ。

代々繋ぐ一子相伝の味。 最高の大豆で作るコングクスと出合える韓国・ソウル『晋州会館 (チンジュフェグァン)』へ。

ソウル市未来遺産に選定されたコングクス16,000W。大豆スープだけで満腹になりそうだが、麺がまたおいしくて箸がのびる。キムチはコングクス用に甘口仕立て。

代々繋ぐ一子相伝の味。 最高の大豆で作る豆乳冷麺。

 コングクスはいってみれば、冷たい豆乳麺である。だが、『晋州会館』のそれは、とんでもなくパワフルだ。まず、豆乳がものすごく濃厚。とろとろ、いや、どろどろ。一口飲んでみると、淡い塩味。豆の香りがぶわっと広がる。ポタージュのように滑らかすぎないのも特徴だ。大豆は〝畑の肉〞の別名通り、飲んでる端からもりもり力が湧いてくる。これ、まるでイソフラボン爆弾だ。
 この店、創業は1962年。3代目の当主、ジョ・チャンベさんが語る。「初代の祖父が店を開いたのは、韓国南部の晋州。その頃は軽食中心で、コングクスは夏だけのものでした。その後、2代目の父が祖母と一緒にソウルに出てきたんです」。父は祖母から習い覚えたレシピを研究し、ブラッシュアップした。豆の味を濃くし、麺も小麦粉にそば粉と軽く炒った豆の粉、片栗粉、ピーナッツや松の実を練り込んで、普通の麺よりはもちもちの、でも、硬すぎない、濃厚豆乳に負けない麺を開発。そして1971年、店名を『晋州会館』と改名し、コングクスを中心に据えた店にしたのである。
 味の決め手となる大豆は、江原道(カンウォンド)の契約農家で「ファンテコン」(黄大豆)という専用の豆を委託栽培。もう50年以上変わらず、同じ取引先からとっている。「農家の社長は子どもの頃から知っている人ですよ」と3代目。最近の気
候変動で収穫量が減る年もあるがそれを補うためによその豆を使うことはない。「それが父の譲れないポリシーなんです」。3月から11月末までの提供だが、大豆が足りなくなると早めに終了することもあるそうだ。
 大豆は一晩水につけてから蒸し、皮をむいて冷ましてから特製マシンでスープ状にする。注文が入るたびに、自家製の麺を茹でて冷水にさらし、キンキンに冷えた大豆スープを注げば出来上がり。とはいうものの、詳しい作り方は企業秘密。一子相伝ゆえ、当主しか知らないという。当主は20歳の頃から店を継ぐべく研鑚を積み、25年間、父とともに毎日2500から3000杯を作り続けた。「どんなに量が多かろうと、店主が作ってこそ、クオリティを守ることができる。それが父の信念なんです」
 ひんやり冷え冷え。夏の暑い日には、涼を呼ぶ麺として毎日食べたくなる客続出、長い行列ができる。添えられるキムチももちろん自家製だが、「コングクスと相性がいいように、少し甘口に作っています」と、当主のお姉さんが言う。「味変的にスープに混ぜながら、とか、麺にのっけて召し上がる方もいますが、大豆の風味が損なわれるので、できれば別々に」とのこと。確かに混ぜてしまうと、一気にキムチ味に。
 もう一つ、人気メニューを挙げるなら、キムチチャーハン。目の前で、スタッフが野菜と牛肉を炒め、ご飯も入れて手早く作ってくれる。具材たっぷりな贅沢チャーハン。友達と一緒なら、両方とってシェアするのがおすすめ。

目の前で作ってくれるキムチチャーハン11,000W。具材は牛肉、椎茸、人参、玉ねぎ、ほうれん草。いいお味で、またすぐ食べたい。
入り口はこちら。夏場の昼時は大行列必至。開店時間が狙い目かも。
厨房の上に「カンウォンド契約農家の豆100%、伝統の味」と書かれた看板が。58年とあるが、実際は63 年。
これがファンテコン(黄大豆)。同じ農家に栽培を依頼。毎年、生産量が少なくても、契約した代金は支払っている。強固な信頼関係あってのことだ。

晋州会館진주회관/チンジュフェグァン
市庁(シチョン)

コングクスは3~11月末まで。それ以外の時期は、キムチチゲ(11,000W)やサムギョプサル(20,000W)などが主役に。6~8月はコングクスのみ。支払いは先払い。

Shop Data 중구 세종대로 11길 26/26, Sejong‒daero 11‒gil, Jung‒gu 11:00~20:30LO 土11:00~14:00 15:00〜19:30LO 日休

文・P(ぴい)

食のライター&エディター。2 年ぶりのソウル、取材先のストーリーがおもしろくてつい長居。お店の歴史を知ると、訪ねる喜びもおいしさも倍増。ソウルますますおいしいよ

photo : Sachie Abiko coordination : Sung eun Kong cooperation : Jinon Kim & Hyejin Kim (TOKYO DABANSA)

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