2024年の年明けから開始されたNISA新制度(新NISA)は、それまで投資に対し一歩踏み出せなかった人達に門戸を開くきっかけになりました。そのNISAで「皆が買っているものを所有していますか」と聞いた時、高い確率で所有している銘柄がアメリカの投資信託であるS&Pです。
2020年代に入って好調な運用が続いたアメリカ株も、その高騰による過熱感や、今秋に中間選挙を迎えるトランプ大統領の自国主義政策により、天井感を危惧する専門家も多くなってきました。定期的にポートフォリオを確認している投資家ならともかく、「とりあえず皆が良いと言っているS&P、今いくらなのかは知らない」という投資初心者の隠れたリスクヘッジとなっているのが、銘柄変更です。
S&Pとオルカンの銘柄変更
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S&Pにおいて、構成銘柄の変更は四半期ごと、年4回(3月・6月・9月・12月)実施されます。運用会社であるS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの委員会に決定権があります。入れ替えは市場価値・流動性・業績安定性などで判断され、明確に発表日と実行日(発効日)が決められています。
2026年2月現在、最新の銘柄変更は3か月前の2025年10月です。2銘柄が除外され、同時に2銘柄が追加されました。
(追加銘柄)
引用:1480742_hon-dd-5-spin-japanese.pdf
(除外銘柄)
引用:1480742_hon-dd-5-spin-japanese.pdf
銘柄変更でS&Pのリターンとリスクは変わるのか
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S&Pはインデックス投信の代表格として、主に「NISAのつみたて枠」で購入している人が多い銘柄です。随時基準価格をチェックするというよりも、預貯金に近い認識で、「銀行口座よりは利率が高いから天引きで継続購入している」という人も多いです。リターン・リスクの観点からみても、適切な買い方だと思います。ここ数年、令和のブラックマンデー(2024年8月)やトランプ関税による暴落(2025年4月)を除き好調の米株ですが、それは2025年までの話です。
2026年の見通し
米株の過熱感自体は2025年のうちから何度か指摘されています。何かのきっかけがあれば、これまで〇〇・ショックを引き起こしてきた歴史の再来となる可能性があります。特に2026年11月に中間選挙を迎えるトランプ氏は、2期目の再選が無いことも含め、今後どのように動くか予想がつきません。いざ「どん!」と日足が落ちた時に、S&Pを買っている投資家に「やっぱり投資って難しい!」と狼狽売り・投げ売りの空気が蔓延した時、本当に怖い事態となるでしょう。ポイントは、その時に銘柄変更によるリスクヘッジは機能するのか、です。
上位10銘柄の合計比率は35%
ここでポイントになるのは、S&Pの上位構成銘柄です。以下は時価総額順に並べた構成銘柄10社の一覧です。
参照:Trading View S&P500指数構成銘柄 – SP:SPX株 — TradingView
S&Pはこれら上位10銘柄で、合計比率の35%を占めています。かつ上記表に「マグ7構成銘柄」と記したのは、現在アメリカ株を牽引するハイテク株であるマグニフィセント7の構成銘柄です。
この状況を踏まえて、S&Pにリスクヘッジがあるのか否かは、さまざまな見方ができます。上記に挙げたような企業名を構成銘柄から外すことは、影響力の高さも考えると現実的ではありません。一方で日本国内の投資初心者には名も知られない企業を外したところで、どこまでリスクヘッジが効くのだろうか?と疑念を持つことになります。
なおS&Pと同等の存在感を持つオルカンも、年4回(2月・5月・8月・11月)に銘柄を見直します。こちらは2025年8月の組み換えで42銘柄が追加され、56銘柄が除外されています。銘柄変更の規模感も異なるほか、日本の企業も対象となっているため、S&Pとはまったく趣の異なる意味合いであることがわかります。
今後、たとえばアメリカの半導体・ハイテク株が「揃って大暴落する」ことがあるとすれば、今回お伝えした構成銘柄の仕組みは投資初心者を守る「頑丈な柵」になってくれることでしょう。言い換えればそこまでの事態が訪れないことには、私達は銘柄変更の機能をことさらに意識せず、S&Pをローリスクのインデックス投資として、定義していくべきといえると思います。
※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。