◆元航空管制官が語る「5分」の重み

「航空交通管制では、出発制御有効時間帯といって、出発時刻を一定の枠で管理する場合があります。この枠を逃すと、再調整が必要になり、大幅な遅発につながる可能性があります。駐機場を離れるのが5分遅れたからといって、離陸も5分遅れで済む、という単純な話ではなくなる場合があるのです」
地上でのわずかな遅れが、空の上では30分、あるいはそれ以上の遅延に拡大することもある。これが航空運航の厳しさだ。
◆焦りが安全を脅かす「ハリーアップ症候群」
田中さんは、遅延が安全面に及ぼす影響についても警鐘を鳴らす。「『少しスピードを上げれば取り戻せる』と思われがちですが、航空機の巡航速度はすでに限界に近い。遅れを取り戻そうとする焦りが、普段なら起こさないヒューマンエラーを招く『ハリーアップ症候群』につながる恐れがあります」
これは世界各地の事故原因としても知られており、遅延は単なる不便さにとどまらず、事故につながる遠因になり得る。
また、航空機は飛行できる空域や高度、ルートにも制限がある。予定の枠を失えば、燃料消費の増加や飛行時間の延長にも直結する。

