
ボンボンドロップシール(ボンドロシール)はサンリオやポケモン、ディズニーなど人気キャラクターとコラボし、その人気はますます過熱。ほかにも、サンリオのシステムシール手帳が付録として付いた『あそぼうサンリオキャラクターズ きらめきかわいいブック システムシール手帳特大号』(扶桑社)は発売前から完売し、6万部の重版を決定。累計12万部が即完売するほどの人気など、ブームは各方面に広がっている。
「手に入らないのであれば」と自作する人も増え、ボンドロでボンドが品薄になるなど、思わぬところまで、その余波は広がっている。
一方、ブームの過熱によって品薄や子供たちの間でのトラブルといった問題も起きている。このブームは一体どこから来て、どこへ向かうのか。一過性の流行で終わるのか、それとも新たな文化として定着するのか。元“JK社長”として知られ、若者研究の第一人者である椎木里佳さんに、ブームの実態と背景、そして未来について話を聞いた。
◆女子中高生から始まった熱狂。若者発トレンド拡散のメカニズム
いまだ熱気は冷めず、工場はフル稼働でも出荷が追いつかないボンボンドロップシール。そもそも、若者たちの間ではいつ頃から人気が出始めたのか。「人気が出始めたのは2024年の頃からで、JC・JKの間ではもう1年以上ブームは続いている状況です。2025年の初期くらいから広い世代で徐々に盛り上がりだしたという感じでしょうか。
昨今、昔のものがリバイバルするブーム、例えばプロフィール帳であるとか、いわゆる『平成レトロ』のようなブームは、今のJC・JKの子たちが先に火をつけて、それが上の世代に広がっていくんです。
平成を生きた30代くらいの方たちが『懐かしい』『ブームになってくれて嬉しい』と感じて好きになる。そして、その子供世代である小学生にまで普及していく。ギャル文化もそうですし、多くのものがそういう流れでブームになっています。
最近では、『孫が欲しがっているみたいで』と子供たちのおじいちゃん・おばあちゃん世代までが関心を持ち始めています。
一方、他の世代の方たちに一気に広がってしまうと、JC・JKが発信していたものの希少性がなくなってしまう。彼女たちが今一番の発信力を持っているので、その層が離れてしまうと、ブームは徐々に下火になります。そしていずれ世の中全体としても『なんとなくもう終わったよね』という流れになってしまうんです」(椎木里佳さん)
JC・JKの間で流行り始めたきっかけは、インフルエンサーではなく、普通のJC・JKたちのSNS投稿からだったという。
「きっかけを厳密に定めるのは難しいですが、TikTokのDIY動画がきっかけになった面はあると思います。もともとシール帳やシール交換は、トレンドにかかわらず楽しんでいた層がJC・JKの中にも一定数存在していました。
ただ、その子たちがやっていたものとは少し違って、交換するためというよりはもっとコレクション性を高めて、『私のシール帳』をどうやって作るかというアート作品のように作り上げた動画が流行ったんです。
クリアなバインダーのシール帳を買ってきて、ピンセットで丁寧にシールを配置していく様子を、ASMR的な感じで動画にしていたんですね。それを何枚も重ねて、分厚くなった手帳をめくっていくと、すごく可愛い、みたいな。
そういう動画が少しずつ作られ始めて、『これ可愛い、自分も真似してやってみよう』と、DIY動画を見ながら実際に作ってみるJC・JKが増えていきました。そうすると、SNS上にユーザーが作ったコンテンツ(UGC)が溢れてくるので、それを見た他の人も『ちょっとやってみようかな』と広がっていった感はあります」(椎木さん)
◆UGCが連鎖するSNS時代の拡散
インフルエンサー起点ではなく、「普通の人のSNS投稿が流行のきっかけとなることが昨今の傾向にある」と、椎木さんは指摘する。「流行のきっかけになったTikTokのDIY動画は、JC・JKのインフルエンサーではなく、一般の方です。最近のトレンドは、インフルエンサーが起点というより、本当に一般の方が質の良いコンテンツを作って、それがちゃんと見られるというケースが多いんです。
コメント欄で『このシールはどこで買いましたか?』『どうやって作るんですか?』といった質問に対して、投稿者がすごく丁寧に答えるんです。そうすると、その人の投稿をもっと見よう、研究しようという気持ちになって、一人の人が何十回も動画を再生することにつながる。結果として、その投稿がレコメンドされやすくなり、より多くの人に見られるようになるんです」(椎木さん)
そこにインフルエンサーや著名人が、さらにそのブームを加速させる。今回、シール交換ブームに大きな影響を与えたのが、田中みな実さんとあのちゃんだという。
「田中みな実さんやあのちゃんはかなり早い時期からシール帳を作られていたようで、お二人のような芸能人の方がSNSやYouTubeで発信することで、同世代の20代・30代の方たちも『自分もやってみよう』と始めた人は多いと思います。
『シール帳って、今、女子高生たちの間で流行ってるやつだよね』と認識していた大人たちが、あの動画を見て、『あ、自分たちの世代でもやっていいんだ』『それを公にしてもいいんだ』と感じられた。一種の“民主化”が起きた感じはありますね。
一般のJC・JKの中からブームが生まれて、それをインフルエンサーがさらに加速させる。現役のJC・JKからすると、自分たちがブームを生み出しているという面白みは感じていると思います。今のJC・JKの子たちと接していても、ショート動画を作る手際の良さや企画力には本当にすごいものがあるなと感じます」(椎木さん)

